ショートカクテルドレス - ピート・モンドリアンへのオマージュ 1965年秋冬オートクチュールコレクション © Yves Saint Laurent © Musée Yves Saint Laurent / Alexandre Guirkinger(「イヴ・サンローラン展」)
国立新美術館から2023年度の企画展スケジュールが発表された。以下に紹介していく5つの展覧会には「美、寛容、希望、変化、挑戦、多様性、境界を超える視点、宇宙」といった、未来に向けたポジティブなメッセージが通底しているという。
すでにスタートしている「ルーヴル美術館展 愛を描く」(3月1日~6月12日)は、古代以来、西洋美術の根幹をなすテーマの一つであり、人間の根源的な感情である「愛」をテーマに、ルーヴル美術館の膨大なコレクションから精選された73点の絵画を紹介。ギリシア・ローマ神話の神々の愛、現実に生きる人間たちの愛、キリスト教の愛など、様々な愛がどのように表現されてきたのかを、16世紀から19世紀半ばまでの作品を通して浮き彫りにする。
「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初⽕球〉から始まる」(6月29日~8月21日)は、中国出身の国際的芸術家、蔡國強(さい・こっきょう)の大規模な個展。サンローランとの共催で開催する同展は、〈原初火球〉という概念を宇宙の誕生になぞらえた起点とし、作家自身の活動の旅として、宇宙や見えない世界などをテーマとする展覧会になるという。東洋哲学、社会問題を作品の基本コンセプトとし、火薬絵画、インスタレーションや屋外爆破プロジェクトなどで知られる蔡の世界に触れたい。
「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」(7月12日~10月2日、予定)は、英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目。絵画、写真、彫刻、素描、キネティック・アート、インスタレーション、さらに映像などの多様な作品を通じ、アーティストたちがどのように光の特性とその輝きに魅了されたのかを検証する。
「イヴ・サンローラン展」(9月20日~12月11日)は、イヴ・サンローランの初コレクションから始まり、独自のスタイルを確立するまでを、ルック110体のほか、アクセサリー、ドローイング、写真を一堂に集めて紹介。イヴ・サンローラン美術館による全面協力を得て、没後日本で初めて開催される回顧展となる。
「大巻伸嗣展(仮称)」(11月1日~12月25日)は、空間と時間を作品に抽出し、体感を促すような大規模なインスタレーションで注目されてきた美術家・大巻伸嗣の個展だ。今回の展示では、天井高8mの大空間を生かした新たなインスタレーションを発表する。
ヨーロッパを代表する美術館から、独自の方法で体感を促すアーティストたちの個展まで、世界の東西をアートで結ぶかのような国立新美術館の2023年度に期待したい。