公開日:2015年12月15日

天王洲アイルで過ごすアートな1日。品川駅から巡るおすすめコースを紹介!

ギャラリーやアトリエだけでなく保存食セレクトショップも!? 11月22日(日)まで「TERRADA ART AWARD 2015」も開催中!

天王洲アイルから品川を望む夜景

運河に囲まれた水辺の街、天王洲アイル。都心の喧騒から離れて、穏やかな独特の時間が流れるエリアです。天王洲アイルと聞いてアクセスがよくないイメージを持つ人もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。実は品川駅から歩いて行けるとしたら?
運河沿いをゆっくりと歩いて15分程度。そこにはギャラリーはもちろん、アトリエや伝統画材を扱うショップ、人気のブルワリーレストラン、さらには保存食セレクトショップまであるのです!天王洲アイルに対するイメージも、少し変わるのではないでしょうか。

そこで、今回は品川駅から運河沿いを歩いて、天王洲アイルまで歩いてみることにしましょう。ベイサイドの街並みは眺めも楽しく、ところどころでアートも鑑賞でき、デートコースにもピッタリ!
まずは品川駅からスタート。待ち合わせるとしたら駅の東側、港南口がオススメです。

品川駅港南口は、原美術館側の高輪口の反対側です。

Tokyo Art Beatアプリの地図で見た寺田倉庫のT-Art Galleryへの道順。駅から原美術館までとあまり変わらない距離かも?

高くそびえるオフィスビルの間を抜けていくと、まるでニューヨークのセントラルパークのような木々に囲まれた公園が現れます。その名前も、「品川セントラルガーデン」。平日は会社勤めの人たちで溢れる品川ですが、休日は人も少なく、いつもとは違う、ゆったりとした雰囲気が漂います。

品川セントラルガーデン

公園を抜けると、東側、運河方面へ歩いていきましょう。高層ビルは姿を消し、下町らしい風景が姿を現します。

橋の上から天王洲エリアを望む景色

少し歩くだけでガラリと様変わりする、街の変化が楽しい。そして運河にかかる橋の上に立つと、もう天王洲アイルの建物が見えてきました。少し遠くに見えるの建物は、醸造所を併設したブルワリーレストラン「T.Y. HARBOR」。その左奥には、何やら巨大な壁画のようなものも見えますね。

運河沿いはランニングコースにもなっており、休日のランを楽しむ人たちの姿もチラホラ。運河沿いの景色を楽しんでいるうちに、もう天王洲アイルエリアに到着です。

通称ボンドストリート

橋を渡ると、そこは「天王洲アイル ボンドストリート」と呼ばれる通り。かつて石油や資材を保管する倉庫が立ち並んでいましたが、時代とともに元倉庫街はおしゃれな街に生まれ変わりつつあります。

リノベーションした倉庫の側面に一時的に壁画が!

人気レストランも多いこのあたりですが、「保存」をテーマにした「TERRA CAFE BAR(テラカフェバール)」も変わり種でオススメ。

パッケージも気になるミリメシ!

店内は保存食でいっぱい

この店では世界中の保存食が集められおり、その場で解凍など調理して食べることができます。冷凍食品、瓶詰め、フリーズドライなどなど。見たことのない食品が並ぶ店内は、好きな人にとっては堪らない空間のはず。

「保存」のロゴが目印!

さて、ボンドストリートをもう少し先に行くと、ペインティング中のアーティストたちに出会えました。ちょうどこの日は、「壁画」アートフェスティバルの「POW! WOW! JAPAN」の期間中。運河沿いから見えた巨大な壁画の正体は、このイベント。街がストリートアートで埋め尽くされていきます。

左からcase maclaim、LUISE ONO、HITOTZUKI

DOPPELの2人も制作中でした

※POW! WOW! JAPANの会期後も一部の作品が残っています。

天王洲アイルで保管保存業や不動産事業を展開する寺田倉庫は、美術品やワイン、フィルムなどの専門性の高い商品の保存・保管技術で高い評価を得ています。アート分野の活動も多く、運営する「T-Art Gallery」は倉庫の空間をリノベーションしたギャラリーです。10月30日(金)から11月22日(日)までは、寺田倉庫が開催するアートアウォード「TERRADA ART AWARD 2015」の入選者展示も開催しています。

T-Art Galleryへの入り口は寺田倉庫正面左手から

1205名の応募者から選ばれた20名の作品が展示され、絵画、写真、版画などの平面表現の可能性を感じさせます

左:SHIMURAbros《フォーカスチャート3》 右:小野耕石《Hundred Layers of Colors》

栄えある大賞はSHIMURAbrosの2人に!

寺田倉庫は、アーティスト向けのアトリエも運営しています。その名前は「T-Art KÔBÔ」。

倉庫で増床するため2フロア分にしていたときの支柱の名残がそこかしこに

ギャラリーから少し離れた、もともと倉庫だったスペースをリノベーションしており、大小さまざまな広さの部屋を用意しています。このアトリエは、「TERRADA ART AWARD 2015」の副賞として、無償提供も予定されているそうです。ゆくゆくは、ギャラリーへの貸し出しやアートコレクターへの開放も検討しているとのこと。アーティストの創作活動を支援する新たな拠点になりそうです。

アトリエの内部

T-Art Galleryからすぐそばに、建築家・隈研吾さんによる、竹のすだれをイメージした曲線が特徴的な建物が! こちらは希少な伝統画材を一堂に揃えた「PIGMENT(ピグモン)」というラボです。

隈研吾によるデザインで、この辺りでもひときわ目を引く一角

壁には色とりどりの顔料がぎっしり!

顔料だけでもなんと約4200種類、骨董的価値の高い硯(すずり)や、さまざまな大きさや毛の種類の筆が揃っています。高価な硯だと、驚きの価格にのぼることも。

とても高価な硯のひとつ

貴重な「にかわ」も資料として展示されています

PIGMENTのもうひとつの特徴は、画材の研究で博士号を修得したエキスパートが店内におり、画材の特性から使用方法までアドバイスをしてくれるそうです。画材の使い方を学べるワークショップも随時開催しており、単なる画材の販売だけでなく、アカデミックな役割も担っています。

店内にあるものから絵の描き方まで、どんな質問にも答えてくれます。こちらはエキスパートの能條雅由さん

カラフルな墨でついつい落描きを……

能條さんたちスタッフの着ているユニフォームはspoken words project の飛田正浩氏のデザイン!

さて、天王洲アイルエリアを巡る1日、いかがだったでしょうか。天王洲アイルに拠点を構える寺田倉庫は、ウォーターフロントにある倉庫の立地と構造の特徴を生かして、さまざまなアートの表現にチャレンジしています。アートを求めて、週末は天王洲アイルへ。そんな休日の過ごし方が、これからはもっと広まっていくのかもしれません。

Text: 玉田光史郎 Koushiro Tamada
Photo: Tadamasa Iguchi(1枚目およびアワードの会場写真除く)

Koushiro Tamada

Koushiro Tamada

玉田光史郎。熊本県生まれ。ファッション/カルチャー系の出版社に勤務後、広告の制作ディレクターを経て、2014年よりフリーランスのライター/ディレクターとして活動。趣味は園芸とクライミング。