東京都庭園美術館が11月22日(土)にリニューアルオープンする。これまで約3年にわたる大規模改修工事では、東京都指定有形文化財である旧朝香宮邸を継承した本館の設備改修、ならびに建物保存を目的とした修復・復原作業、そして新たな美術館機能を伴った新館の改築工事が行われてきたが、本記事ではその概要をご紹介したい。
1933年の建設当時、フランスのアール・デコ様式を本格的に取り入れた旧朝香宮邸は、今回のリニューアルにより大規模な設備の更新のほか、殿下居間の壁紙の復原、外壁の塗り替え、アンリ・ラパンがデザインしたセーヴル製屋内噴水器(香水塔)の修復などが行われた。1933年から白金の森に建つアール・デコの館が蘇る。
本館に隣接する新館には、現代美術家の杉本博司氏のアドバイスのもと、新しいホワイト・キューブの展示室が設けられた。アール・デコ建築の本館から、三保谷硝子製の美しいガラスのアプローチを抜けると、モダンで開放的な空間が広がる。本館と新館を効果的に組み合わせることで、現代美術の展覧会や映像、音楽、パフォーミング・アーツなど、活動の可能性が拡がる。
また、カフェとミュージアムショップもオープンする。開放的な空間でオリジナルブレンドのコーヒーを味わったり、ここでしか手に入らないオリジナルグッズをゲットすることができる。
新しいウェブサイトでは改修のプロセスを紹介したスライドショーを見ることができる。リニューアルオープンに際して、改修工事の成果を紹介する「アーキテクツ/1933/Shirokane」展と、新館展示室の第一弾の展覧会として「内藤礼」展が11月22日から12月25日まで同時開催されるほか、デザイナー・建築家の矢萩喜從郎氏によって25年振りにロゴ・マークが刷新される。オープン前日の11月21日には内覧会・レセプションが催される予定だ。
なお、2015年1月17日から4月7日までの期間には、本館・新館ギャラリー1にて、東京都庭園美術館開館30周年記念「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」展が開催される。
東京都庭園美術館
〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
執筆:岡徳之(Noriyuki Oka Tokyo)