横尾忠則 ボッスの壺 2024 作家蔵
横尾忠則の個展「横尾忠則 連画の河」が世田谷美術館で、4月26日〜6月22日に開催される。
1972年のニューヨーク近代美術館での個展開催など、早くから国際的な知名度を獲得してきた横尾。2023年春から、かつて故郷の川辺で同級生たちと撮った記念写真のイメージを起点に、「連歌」ならぬ「連画」の制作を始めた。
和歌の上の句と下の句を複数人で分担して詠みあう連歌に対し、横尾は前日の自作を他人の絵のように眺め、そこから今日の筆が導かれるままに描き、明日の自分=新たな他者に託して思いもよらぬ世界が開けるのを楽しんでいるという。なかでも水は重要なモチーフのひとつになっている。
本展は、150号を中心とする新作油彩画約60点にスケッチなどを加え、88歳の作家の現在を紹介するもの。横尾による「連画」の行方を、ほぼ制作されたとおりの順で追いかけることができる。
展示は、「連画」の起点となった、1970年に篠山紀信が撮影した記念写真にインスピレーションを受け、1994年に横尾が描いた大作《記憶の鎮魂歌》からスタートする。さらに続く約60点の新作には、篠山の写真や《記憶の鎮魂歌》のイメージをはじめ、広告などに登場するグループ写真、川や水にまつわる物語や絵画の画像など、複数の素材に由来するイメージが登場する。
会期中は、美術批評家・詩人の建畠晢による講演会のほか、フィリップ・グラスの楽曲を日本初演となるピアノ・ソロ完全版で滑川真希が演奏するピアノコンサート、テリー・ライリーによる即興ライブなど、横尾とゆかりのあるアーティストに関連したイベントも予定されている。