東京都渋谷公園通りギャラリーで、「共棲の間合い -『確かさ』と共に生きるには-」が開幕した。会期は2月10日〜5月12日。
参加作家は折元立身、酒井美穂子、スウィング、村上慧。
2月10日のオープニングでは、折元立身による「パン人間」パフォーマンスが行われた。それほど広くない会場に多くの人が集い、見守られるなか、廊下で頭にパンを括られていく折元。「二次会行こう!」と呼びかけ周囲を笑わせつつ、準備が整うと、「私はパン人間であり、人間様ではありません!」と宣言。会場内をパン人間たちが闊歩した。そしてギャラリー前の渋谷の街にまでパン人間たちが繰り出し、通行人たちを驚かせた。海外からの観光客と思われる人を呼び止め、一緒に記念写真を撮る一幕も。
住む、暮らす、生活する、ともに行うことを起点に表現する作家たちの作品や活動を紹介する本展。4作家が見せるのは、身近な家族との関係に迫るパフォーマンス、ある食料品に対する愛着、近隣地域のゴミ拾い、日常の出来事から生まれた詩、現代の住居や生活様式を問い直す試みなど。その表現はいずれも、生活と芸術の境界を揺るがし、問いかけるものでもある。
折元は、自身の母の介護を作品とする「アート・ママ」のシリーズや、日常品などで作られた新作の立体作品を展示。
1996年から「やまなみ工房」に所属する酒井美穂子は、片時も離さないという「サッポロ一番しょうゆ味」を作品に昇華。
障害のある人とない人がともに働く福祉施設スウィングは、清掃活動を「ゴミコロリ」という戦隊レンジャーのようなかたちで行う。
落ち葉の発酵熱や気化熱の冷房効果を利用するなど、電気を使わない冷暖房空間を制作する村上慧は、展示空間にサウナを制作。落ち葉のいい香りが展示空間を満たしていた。
関連イベントも充実しているので、公式サイト等でスケジュールを確認のうえ、訪れてほしい。
福島夏子(編集部)
福島夏子(編集部)