公開日:2023年2月15日

「札幌国際芸術祭2024」の概要が発表。第1弾発表作家にエネス、チェ・ウラム、宮田彩加、明和電機、青木美歌など

会期は2024年1月20日から2月25日の37日間。「SIAFスクール」などのプログラムも今年スタート

札幌国際芸術祭2024

創造エンジン、文化インフラの場、市民参加がテーマに

2023年2月14日、来年1月からスタートする「札幌国際芸術祭2024」(SIAF2024)の第1弾開催概要が発表された。

テーマに「LAST SNOW」、そして「はじまりの雪」を掲げる同芸術祭では、「創造エンジン/Engine for Creativity(未来志向を生み出す仕掛け)」、「文化インフラ/Cultural Infrastructure(=未来を垣間見る体験を提供)」、「市民参加/Citizen Participation=市民や企業の参画/社会のためのアート」という「3つのC」を、芸術祭のあり方を示すヴィジョンとして示している。

ちなみにメインビジュアルに登場する真っ白なキャラクターは、芸術祭のコミュニケーターでもありプロジェクトでもある「◯さん(まるさん)」。◯さんが表しているのは、SIAF2024に参加する来場者などの「みなさん」の姿や体験を象徴しているそうだ。

「はじまりの雪」を象徴するようなシンボルマーク
◯さん

まずは「創造エンジン/Engine for Creativity」。以下の3つのエリアを実験区に設定し、さっぽろ雪まつり大通2丁目会場では幅広い層が楽しめる大型作品を展示し、冬の暮らしや楽しみ方を提案。モエレ沼公園では未来のスポーツを考えるワークショップを開催。そして札幌市内の某所には、地下公園の創出を目指すという。

「文化インフラ/Cultural Infrastructure」では、多くの舞台公演が行われてきた東1丁目劇場施設(旧北海道四季劇場)を巨大な展示空間に転換し、「未来劇場」と呼称。100年後の未来を見つめる体験を生み出す。また、芸術祭開催に先行して、2023年4月からは「SIAFスクール」を開校。子どもから大人まで、誰でも参加できるプログラムを立ち上げる。

「市民参加/Citizen Participation」には、市民や企業とのコラボレーションでつくりあげる芸術祭というビジョンを反映。「雪=ウパㇱ」に由来するアイヌ語のサブテーマ「ウパㇱテ」に「未来に向けて走り出してみる、互いに気づきあってみる」という意味を込め、公募プロジェクト「みんなでウパㇱテ(仮)」を準備中だ。また前述したSIAFスクールを活用し、会期前から様々なコラボレーションを続けていく。

モエレ沼公園 撮影:詫間のり子
未来劇場(東1丁目劇場施設) 撮影:詫間のり子

ここからは注目の出品作家と展示会場や具体的なプロジェクトを紹介。

「未来劇場」と名付けられた東1丁目劇場施設(旧北海道四季劇場)は「100年後の未来を考える場所」として、チェ・ウラム国松希根太(くにまつ・きねた)、そして昨年急逝した青木美歌の作品が登場。舞台上とその下に広がる奈落というレアな空間を活用するという。また、計数技研と北海道演劇財団とマユンキキが参加する「SIAFヒューマノイド・プロジェクト(仮)」も進行中だ。

チェ・ウラム Custos Cavum 2011

さっぽろ雪まつり大通2丁目会場の目玉は、オーストラリアで活動するアート&テクノロジースタジオ、エネスによる光と音の巨大なインスタレーション。そして札幌文化芸術交流センターSCARTSは来場者のためのビジターセンターとして活用し、芸術祭と札幌での滞在を豊かにする情報を発信する。

エネス エアシップ・オーケストラ Photo by Ben WEINSTEIN

北海道立近代美術館のテーマは「フラジャイル」。同館の収蔵作品を紹介しながら、芸術祭のための新作も展示。国松登行武治美宮田彩加らの作品が並ぶ。

宮田彩加 MRI SM20110908 2016- Photo by TAKASHIMA Kiyotoshi

モエレ沼公園では、敷地内の広大な雪原を舞台に、日本各地で「未来の運動会」を展開している一般社団法人運動会協会の協力のもと、ダンス、テクノロジー、音楽などの要素を取り込んだ未来のスポーツを参加者とともに考えていくプロジェクトを実施するとのこと。今回の芸術祭のなかで、もっとも雪で遊ぶことのできるプレイグラウンドになるだろう。

札幌芸術の森美術館では、メディア・アートの楽しさに触れられる作品が並ぶ。その中心となるのが、今年活動30周年を迎える明和電機。創作楽器としての作品などを通じて、発想からものづくりに至るプロセスの楽しさを体験できるとのこと。また90年代以降の日本におけるメディア・アートの展開を包括的に見渡せる展示も行われる。

明和電機 オタマトーン

前回の2020年は新型コロナウィルスの影響で開催中止となってしまった札幌国際芸術祭。じつに6年半ぶりの開催となる同芸術祭に期待したい。

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