日本を代表する建築家のひとり、黒川紀章(1934〜2007)が設計し、2022年に惜しまれつつ解体された中銀カプセルタワービル。カプセルのうち1基をサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)が収蔵したことは今年6月ニュースになったが、そのほかのカプセルも再活用が進んでいる。
松竹株式会社は、中銀カプセルタワービルのカプセル2基を取得・活用し、東劇ビルの隣接地に新スペース「SHUTL(シャトル)」を2023年10月7日にオープン。10月7日、8日の2日間は、SHUTLを誰でも自由に見られる一般開放日として営業する。
10月13日から2024年春にかけては、オープニング展示シリーズ「伝統のメタボリズム」を開催。SHUTLのコンセプト「未来のオーセンティック」を体現する企画として、伝統という概念そのものを問い直し、新陳代謝を促進するさまざまな表現を3期にわたって紹介する。
第1期「伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜」は10月13日〜11月5日に開催。コミュニケーションやアーカイヴにおける基本要素である「言葉」と「文字」の輪郭と変化に着目し、それらがこれからどのような変化を遂げていくのか。そして未来のオーセンティックとなり得る新しいコミュニケーション手段がどのように出現していくのか、伝統が更新される予感の可視化を試みる。
参加作家は、詩の表現ジャンルで多彩な活動を展開する最果タヒ+展示デザインを行う佐々木俊、2010年からSNS上で匿名のアーティストとして活動し、泣き笑いの絵文字を用いた代表作《The Laughing Man》などで知られる松田将英、SHUTLのロゴデザインを手がけ、関西を拠点に国内外にその存在感を発揮するデザイナー三重野龍の3組。
第2期「伝統のメタボリズム〜様式からの変容〜」は12月中旬〜2024年1月中旬、第3期「伝統のメタボリズム〜見立て〜」は2024年2月中旬〜3月中旬を予定している。
なお、SHUTLは会場レンタルも実施。収容人数の定員は30名で、展示、映像上映、トークイベント、取材会場、撮影、音楽イベントなどフレキシブルに対応可能とのことで、どのように活用されるか楽しみだ。