東京・立川のPLAY! MUSEUMで、谷川俊太郎の絵本をテーマにした展覧会「谷川俊太郎 絵本★百貨展」が開催される。会期は2023年4月12日から7月9日。
詩人である谷川は、1960年代から現在に至るまで様々な絵描きや写真家と200冊にも及ぶ絵本を作ってきた。ことばあそび、世界のありようを認識する手がかり、ナンセンスの楽しみなどを手がかりに、生きることの面白さや大変さ、尊さ、死や戦争までをテーマとして、谷川は絵と言葉による表現に挑み続けてきた。
今回の展覧会では、谷川自身が写真も担当した『絵本』、元永定正との『もこ もこもこ』、写真を沢渡朔が担当した『なおみ』、タイガー立石との『ままです すきです すてきです』、松本大洋との『かないくん』などの約20冊を取り上げ、多彩なアーティストやクリエイターによる絵本の原画展示のみならず、絵や言葉が動き出す映像、朗読や音、巨大な絵巻や書き下ろしのインスタレーション作品などを展示。絵本の世界から飛び出した、子どもから大人まで誰もが楽しめる展覧会になるという。
展覧会タイトルにある「百貨展」という言葉には、イラストや絵画だけでなく写真やコラージュを用いる、谷川の絵本の視覚表現の多彩さ、そしてコンセプトやテーマの多様さが反映している。『まるのおうさま』『こっぷ』などの世界を知る手がかりとなる「認識絵本」、『ことばあそびうた』や『ぴよぴよ』のような「言葉あそび」や「オノマトペ」、『もこ もこもこ』などの「ナンセンス」。さらには『へいわとせんそう』をはじめとする「戦争」、『かないくん』や『ぼく』での「死」など、縦横無尽にその表現は広がる。
それらの絵本を紹介するにあたっては、講談師の神田京子、アーティストの立花文穂、写真家の田附勝など、アートディレクター、映像作家、建築家といった多才なクリエイターが参加し、原画、朗読、アニメーション、インスタレーションなどとして展示される。また、会場では、車やトンネルなど「谷川さんがすきなもの」に唐突に遭遇する新作『すきのあいうえお』も発表される。手元でページをめくる絵本の世界が、思わぬ方法とアイデアで空間に飛び出してくる展覧会を楽しみたい。