新宿ゴールデン街にあるギャラリーバーnagune(ナグネ)で、「『植田正治作品集』編集室」なる写真展が催されている。
植田正治(1913〜2000年)といえば、出身地・鳥取の砂丘で、オブジェのように人物を配したモダニズムあふれる作品で広く知られる写真家。2013年には東京都写真美術館でジャック・アンリ・ラルティーグとあわせて企画展が行われるなど、没後の近年、再評価されている。
昨年12月に河出書房新社から刊行された『植田正治作品集』は、ありそうでなかった植田作品の総括的写真集。ネクタイが夜空を漂うカラーの合成写真、笑顔でジャンプする自身を撮影したものなど、これまで多くの人の目に触れてこなかった作品が多数掲載されている。「雑誌の初出にあたる」という編集方針で、プリントからだけでなく、雑誌を集めて誌面を複写、製版したことで可能になったという。
今回の展覧会は、『植田正治作品集』の編集者がnaguneの常連客であったことから実現したもの。1〜3階の全体に、写真集の見本刷りから抜粋したページを額装して掲示したり、色校正紙を丸めたものや初出雑誌のコピーの束を無造作に置いて「編集室」を彷彿させるインスタレーションで展開。ここまで見せられるというのも、その見せ方も、それらを飲みながら語りながら鑑賞できるのも、本展ならでは。植田正治ファンはもちろん、写真好きや写真集好きの方も見逃せないものとなっている。
■展覧会詳細
『植田正治作品集』編集室
会期:2017年3月6日〜5月7日
会場:nagune
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-1-5(ゴールデン街)
開廊時間:19:00~深夜
http://www.nagune.jp/