参加アーティストたち。左から小林健太、佃弘樹、野沢裕、髙倉大輔、石井海音。
再開発が進む渋谷で、新たなアートプロジェクト「渋谷二丁目アートプロジェクト」がスタートした。参加作家は石井海音、小林健太、髙倉大輔、田中功起、佃弘樹、野沢裕、森本美絵、横山隆平の8名。
舞台となるのは、渋谷駅東口エリアにあり、東急が主体となり23階建ての複合施設の建設が進む渋谷2丁目17地区。渋谷〜青山エリアをつなぐエリアでもある同所の建設現場の仮囲いに、CADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)が「都市の移り変わり」をテーマに選出した現代アーティストの作品が展示されている。
今回の作家はCADANが50軒のギャラリーに声をかけ、18名の応募があり、そのなかから選ばれた8名。そのうち本展示のために新作を発表しているのは石井海音、髙倉大輔、佃弘樹、森本美絵、横山隆平。
画家の石井海音は、自身初の試みとなるデジタルペインティング《駅》(2021)を発表。「人工的でありながら、ひとつの環境系を構成するような都市の有機的なあり方を、私は大きな人体のように見ることがあります」とコメントし、老いていく都市のなか、行き交う人々が酸素を運ぶヘモグロビンのように街を活性化させる様子を描いた。
その横に並ぶのは写真作家、髙倉大輔による“一人芝居”をモチーフとした作品シリーズの新作で、コロナ禍の都市における個人の価値観の変化、想像することについて表現した《monodramatic / Be fluid》(2021)。本作が展示されるまさにその場所を舞台に撮影され、「演劇的な手法を通じ、想像力を働かせる意識を刺激できればと思う」と髙倉は述べる。
そのほかには都市、人々、生命、理念、思念といった関係性を表した佃弘樹《Reuilding the grown roots of desire》(2021)、数千におよぶ渋谷のグラフィティをとらえたスナップ写真を重ねて作品化した横山隆平《WALL stanza》(2021)、20代から渋谷に暮らす森本美絵があらためて渋谷を再考しながら撮影した《scrapandbuild》(2021)など。
これまでも世界中の文化・芸術の魅力を発信し、街のにぎわいを創出してきた東急。「渋谷二丁目アートプロジェクト」は、毎日の通勤や通学で往来する周辺オフィスワーカーや学生をはじめ、地域住民のインスピレーションとなることを目指しているという。
作品を見ることができるのは2022年9月(予定)まで。渋谷を訪れた際には足を止め、しばし喧騒から離れた作品鑑賞の時間を楽しんでほしい。
渋谷二丁目アートプロジェクト
期間:2021年12月-2022年9月(予定)
会場:渋谷二丁目17地区市街地再開発仮囲い
https://shibuya2artproject.cadan.org
野路千晶(編集部)
野路千晶(編集部)