京都国立博物館において「雪舟伝説 ―『画聖(カリスマ)』の誕生―」が、4月13日~5月26日にかけて開催される。
6件の作品が国宝に指定されるなど、日本美術史上もっとも重要な画家のひとりとして評価されている雪舟。単純に作品が優れているだけではなく、雪舟と作品に対して歴史的に積み重ねられてきた評価の上に、今日の高い評価があるのだという。
本展は主に近世における雪舟受容を辿ることで「画聖」と仰がれる雪舟への評価がいかにして形成されてきたのかを検証する展覧会。桃山時代に雪舟の後継者を自称した雲谷派と長谷川派、雪舟画風を流派様式の礎とした江戸時代の狩野派など、雪舟を慕う様々な画家たちの絵画を紹介することで、「画聖」雪舟誕生の過程を明らかにする。
本展の見どころは、国宝指定された雪舟の6件の作品が勢ぞろいしていること。教科書に頻繁に掲載されるなど、雪舟のもっとも有名な作品である《国宝 秋冬山水図》は、荒々しく強い筆致、独特の画面構成など、雪舟らしさが凝縮されている。「天下無双」と称された長さ16mにおよぶ大作《国宝 四季山水図巻(山水長巻)(部分)》や《重要文化財 四季花鳥図屏風》、現地での写生を元に晩年に描いたものと見られている《国宝 天橋立図》も必見だ。
雪舟の画風を継承・再生させ、後継者を名乗った画家たちの作品も展示される。雪舟筆《四季山水図巻(山水長巻)》を参照して描いたことが明らかである、雲谷等顔筆《重要文化財 山水図襖》や、「自雪舟五代」(雪舟より五代)と記した長谷川等伯筆《竹林七賢図屏風》にも注目だ。
また、狩野探幽、尾形光琳、伊藤若冲、円山応挙など、雪舟を慕い、雪舟に学ぶことで、新しい絵画世界を切り開いてきた多くの作家の作品も紹介。1955年ウィーンで開催された世界平和評議大会において、世界十大文化人のひとりに選ばれた雪舟。画家たちの雪舟受容を通して、これまでにない観点で「画聖」雪舟の魅力に触れる展示になりそうだ。