公開日:2022年8月26日

女性たちが描いた知られざる戦争画とは? Eテレでドキュメンタリー番組「女たちの戦争画」を放送

Eテレ「ETV特集」にて、8月27日23:00から放送

福岡・筥崎宮(はこざきぐう)に収蔵されている、女流美術家奉公隊《大東亜戦皇国婦女皆働之図(春夏の部)》 画像提供:NHK

女流美術家奉公隊《大東亜戦皇国婦女皆働之図》に迫る

戦時中、日本国民の戦意高揚を目的に描かれた戦争画は、当時の画壇や時代性の性質上、藤田嗣治や小早川秋聲など男性美術家による作品が大半を占めている。しかし、女性による作品もわずかに存在した。

Eテレで今週土曜日23:00から放送される「女たちの戦争画」では、ほとんど知られてこなかった異色の大作《大東亜戦皇国婦女皆働之図》(1944)が紹介されている。同作を描いたのは、洋画家・長谷川春子を委員長とした女性画家集団である「女流美術家奉公隊」

《大東亜戦皇国婦女皆働之図》を長年研究する吉良智子(左)に話を聞く写真家・大石芳野(右) 画像提供:NHK

幅3メートルの大画面は、畑仕事や軍需工場での飛行機の組み立てなど、いわゆる「銃後」の様々な仕事に従事する女性の姿で埋め尽くされている。他国同様に、戦争による人手不足ははからずも女性に活躍の場を与えたが、当時の日本で暮らす女性画家たちにとっても、この大作は自らの絵筆を披露できる好機だったのだろう。番組では、ベトナム戦争や広島の被爆者を取材してきた写真家・大石芳野が同作にかかわる人々や場所を訪ねていく構成になっている。

同番組に情報提供・出演している研究者の吉良智子は、Tokyo Art Beatの取材に対して、放送にあたって以下のコメントを寄せている。

一面的な戦争画の是非にとどまらない、当時の女性アーティストにとっての戦争への参画や戦争画を描くことの意味を、初公開となる元奉公隊員の女性画家へのインタビュー音声なども交えて、多角的にとらえる番組になっています。現代社会にもつながる「戦争とアート」のかかわりやアーティストそれぞれの戦争との向き合い方について考えていただけたらと思います。

ETV特集「女たちの戦争画」

放送日:Eテレにて8月27日23:00〜23:59(再放送:9月1日00:00〜00:59)
※放送後1週間、 NHKプラスでも視聴可能
番組ホームページはこちら

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