公開日:2023年4月14日

「いきもの」をテーマにした六本木アートナイト2023の全プログラムが公開。白い翼をまとったキャラクターが六本木の街をパレード

5月27日10:00から28日18:00まで六本木各所で開催。栗林隆+Cinema Caravan、鴻池朋子など45組のアーティストたちが展示やパフォーマンスを実施

「六本木アートナイト2023」メインビジュアル デザイン:groovisions

六本木にアートな生き物たちが大集合

4年ぶりにオールナイト開催となり、5月27日から28日の2日間にわたって開催される「六本木アートナイト2023」。メインプログラム・アーティストに栗林隆+Cinema Caravan鴻池朋子を迎え「都市のいきもの図鑑」をテーマとした今年の全プログラムの情報が公開された。約45組のアーティストらによる約70のプログラムが六本木各所で展開する。

「六本木アートナイト2023」メインビジュアル デザイン:groovisions

海外パフォーマンスカンパニーによる幻想の白いパレード

まず注目したいのが、オランダを拠点とするパフォーマンスカンパニー「Close-Act Theatre」による《White Wings》。白い翼をまとった幻想的なキャラクターが街を優雅にウォーキングし観客を魅了。そのパレードは壮大なクライマックスを迎え、やがて魔法がとけるように消えていくという。開催日時と場所は以下。パフォーマンスは各約20分間。

●5月27日(土)
16:00~(公開リハーサル、六本木ヒルズアリーナ)、18:30~(六本木ヒルズアリーナ)、20:30~(東京ミッドタウン プラザ1階)

●5月28日(日)
14:00~(六本木ヒルズアリーナ)、16:00~(六本木ヒルズアリーナ)、17:45~(東京ミッドタウン プラザ1階)

クロースアクトシアター ホワイトウイングス © Bert Holtmann

メインプログラムでは展示のほかに無料ライブも開催

メインプログラム・アーティストの栗林隆+Cinema Caravanは、アートエネルギーを船に載せ、世界中に届ける《Tanker Project》を六本木ヒルズアリーナに出現させる。また、鴻池朋子は日本を横断しながら展示されている《皮トンビ》を東京ミッドタウンに降り立たせるほか、国立新美術館では《皮トンビ》と併せて《狼ベンチ》を展示する。

栗林隆+Cinema Caravan Tanker Project(イメージ)
鴻池朋子 大島皮トンビ 2019 約12×4m 牛革に水性塗料、クレヨン

また、《Tanker Project》では3組のミュージシャン・パフォーマーによるライブも実施。旅の記録をつないだ映像とともにライブ公演する志津野雷+Play with the Earth Orchestra、オールドジャズ、クラシック、ジプシー音楽、民謡、エレクトリックなどの要素を取り入れたオリジナル曲を演奏するOtoji+Ray、旭川アイヌのOKIと北海道や樺太に伝わる新旧様々なアイヌの伝統歌「ウポポ」の再生と伝承をテーマに活動するMAREWREWも出演。これらはすべて観覧無料だ。

●志津野雷+Play with the Earth Orchestra《Play with the Earth》
5月27日(土) 18:50~20:00(六本木ヒルズアリーナ)

●Otoji+Ray《Otoji+Rayコンサート》
5月28日(日)12:00~(六本木ヒルズアリーナ)

●OKI+MAREWREW《 OKI+MAREWREW コンサート》
5月28日(日) 16:00~(六本木ヒルズアリーナ)

Otoji+Ray

六本木ヒルズは絢爛豪華な毛布部屋やラジオ体操!

ここからは各エリアのプログラムを紹介。六本木ヒルズでは、エマニュエル・ムホーの100色で彩られた層が織りなす、記憶を辿るインスタレーション《100 colors no.43「100色の記憶」》、時代とともに変化する憧れの生活様式を表現したリカちゃんハウスをモチーフに、花柄毛布で憧れのドリームハウスを作った江頭誠《DXもふもふ毛布ドリームハウス》大小島真木+Maquisは、直径1メートル超のミラー貼りの正十二面体オブジェを中心に、ガラス造形、鉄工、植物、LED照明、音響などを交えて展開するミクストメディアのインスタレーション《SHUKU》を展示。

江頭誠《DXもふもふ毛布ドリームハウス》制作風景
大小島真木+Maquis SHUKU(イメージ図)

このほかにも台湾出身のジャン・シュウ・ジャン(張徐展)による半分が人間で半分がネズミや狐のシャーマンダンサーが登場する映像作品や、若手舞踊家総勢20名以上の大群舞が展開する櫛田祥光《歓喜》(5月27日 22:30~、5月28日 15:00~)、早朝の六本木ヒルズアリーナでインビジブル×日本フィルハーモニー交響楽団の演奏にあわせて体操できる《クラシックなラジオ体操》(5月28日 5:30~)など、多彩なプログラムが目白押しだ。

ジャン・シュウ・ジャン 《熱帶複眼》動物故事系列 シングルチャンネル映像、4K、カラー、サウンド 12.2 2020~2022 16分 © ZHANG XU Zhan Courtesy of projectfulfill
インビジブル×日本フィルハーモニー交響楽団 クラシックなラジオ体操 撮影:加藤甫

ミッドタウンでは虫、ストレス、人形浄瑠璃

東京ミッドタウンでは、井原宏蕗による紙の虫食いなどムシにまつわる展示、2022年度の「TOKYO MIDTOWN AWARD」受賞者6組による新作展示やワークショップ、様々なストレスをテーマに制作する馬蹴れんなのストリート・アート・パフォーマンス《モラトリアムのストレス》(5月27日 18:00~21:00、5月28日 15:00~18:00)などを実施。

また、サントリー美術館6階ホールでは、兵庫県南あわじ市に約500年前から伝わっている淡路人形浄瑠璃を継承する淡路人形座による人形浄瑠璃公演「戎舞」(5月27日 13:30~14:15、15:30~16:15、18:00~18:45)を上演。無料だが、別途美術館入館料を要する。また事前申込みを優先するので興味のある方は早めにチェックを。

井原宏蕗 book(ing)No.12 Photo by Taihei Soejima
馬蹴れんな Street Art Performances《モラトリアムのストレス》
淡路人形座 人形浄瑠璃公演「戎舞」 提供:公益財団法人淡路人形協会

国立新美術館は新進アーティストが展示

国立新美術館では、パフォーマンスなどを通して他者との関わりを問ううらあやかや、しばたみづきによる国立新美術館の敷地内で採取した土や水を主な素材に、館内の屋上庭園に生える竹林とコラボレーションした展示などを開催。また、パブリックスペースを活用した「NACT View」シリーズの第2回として、アニメーション作家・築地のはらによるプロジェクションマッピングとARアニメーションの展示「ねずみっけ」も開催される。

うらあやか 蜂と関わろうとする身振り(適正な関係は壊されてしまった..)
「NACT View 02 築地のはら ねずみっけ」フライヤー画像 © Nohara Tsukiji

岩崎貴宏、林千歩、西尾美也らの作品も六本木各所に

美術館や商業施設だけがアートナイトの舞台ではない。岩崎貴宏は、スクラップ&ビルドによって変化し続ける象徴的な都市、六本木をモチーフとした作品を第1レーヌビル(港区六本木5丁目3−4)で展示。林千歩は、地球が人間視点による無数の事実を語る《もうないかもしれないよ》などの映像2作品をイグノポール1階(港区六本木5丁目9−20)で上映する。また、西尾美也+東京藝術大学学生のチームは、「もうひとつの3拠点」という取り組みを実施し、三河台公園(港区六本木4丁目2−27)、六本木中学校(港区六本木6丁目8−16)、矢口ビル1階(港区六本木5丁目10−31)の3ヶ所に、地域から学び、地域の人々とともに生み出す「共有空間」を提示する。

岩崎貴宏 小海の半島の旧家の大海 2017 撮影:木奥恵三 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
林千歩 もうないかもしれないよ 2014 Video 5:12min
西尾研究室「DATSUEBA奈良」におけるワークショップの様子 2022 撮影:前川俊介

ここまで紹介してきたプログラムは全体のごく一部。わずか2日間という短い時間に、表現や都市の魅力がぎゅっと凝縮しているのが六本木アートナイトの魅力だ。夜から朝まで、そしてまた夕方まで。思う存分アートを楽しんでほしい。

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。