古代ローマの2000年を超える豊かな文化と壮大なる歴史。2023年9月16日~12月10日に「永遠の都ローマ展」が、東京都美術館で開催される。ローマ市庁舎のあるカピトリーノの丘に建つカピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、建国から古代の栄光、教皇たちの時代から近代まで、約70点の彫刻、絵画、版画などが展示される。
カピトリーノ美術館は、一般市民に公開された美術館のうちでは、世界的にもっとも古い美術館のひとつ。その歴史は1471年ルネサンス時代の教皇シクストゥス4世が、ローマ市民に4点の古代彫刻を寄贈したことにまで遡る。
展示では、古代ローマの建国を伝える伝承や神話にはじまり、ユリウス・カエサルとその遺志を継いだオクタウィアヌスが礎を築いた古代ローマ帝国の栄光の歴史をひもといていく。また現在のカピトリーノ美術館の前身となる、16世紀にミケランジェロが手がけたカンピドリオ広場の建設プロジェクトの様々なアーカイヴ、そして1734年から始まった公立美術館としての歴史までを振り返る。当時納められていた16世紀から18世紀に活躍した画家たちの作品コレクションからは、当時のパトロンたちが収集した絵画の好みや画題や表現の主流を伺い知ることができるだろう。
なかでも、《カピトリーノのヴィーナス》は見どころだ。ルーヴル美術館の《ミロのヴィーナス》やウフィッツイ美術館の《メディチのヴィーナス》に並ぶ、古代ヴィーナス像の傑作と呼ばれている彫刻だ。カピトリーノ美術館以外ではなかなか見られない門外不出の作品で、この度初来日となる。また古代ローマ帝国の栄華を象徴する《コンスタンティヌス帝の巨像》の頭部も、頭部だけで約1.8メートルとなる圧巻の彫刻だ。
2023年は、日本の明治政府が派遣した「岩倉使節団」がカピトリーノ美術館を訪ねて150年の節目の年。ちなみにこの使節団は、のちの日本の博物館施策に大きな影響を与えることになる。カピトリーノ美術館のコレクションをまとめて日本で紹介する初めての機会に、「永遠の都」と称されるローマの歴史と芸術を堪能したい。
巡回展となる福岡会場は、福岡市美術館にて2024年1月5日〜3月10日。