ライゾマティクスとは、技術と表現の新たな可能性を探求し、研究開発要素の強いプロジェクトを国内外で発表している集団。東京を拠点に、人とテクノロジーの関係について研究し、様々なクリエイターとのコラボレーションワークを実践している。そのコラボレーションのひとつが、3人組テクノポップユニット「Perfume」のステージ演出やアートワークだ。
そしてこのたび、2組のコラボレーションを紹介する展覧会「Rhizomatiks inspired by Perfume 2020」が渋谷のPARCO MUSEUM TOKYOで1月27日まで開かれている。
「Flash – Virtual Reality」「Behind The Scene」「Tiny Baby – Augmented Reality」「Flash – Immersive Projection」の4セクションからなる本展。拡張現実、フォトグラメトリ、マシンラーニング、ウェアラブル・コンピューティングといった、最先端のメディア・テクノロジーを駆使したカスタムメイドのソフトウェアやハードウェアのほか、新作、実際にステージ演出で使用しているシステムも一部体験できる。
ライゾマティクスのファウンダーのひとり、真鍋大度は次のように話す。「2013年、Perfumeの演出の裏側を見せるような展示をNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]で行いました。そのときは、当時目新しかった画像解析を用いて衣装の形状に合わせてプロジェクションをリアルタイムで自動調整するシステムや、光る衣装、モーターで変形する衣装などを展示しました。 それから7年が経って、AIや機械学習技術の進化、ドローン、モビリティ、VR、ARをはじめ演出を支える技術が進化して、Perfumeの演出も大きく変化したのでその辺を裏側から観賞出来る様な展覧会になればと思い企画しました」。
真鍋のいち押し作品は、新作の「Flash – Virtual Reality」。Perfumeの楽曲『Flash』の映像演出のために取得した3人のフォトグラメトリデータを二次利用した本作は、VRだからこそ実現可能な新たな演出によってライブ演出の拡張を行うもので、ヘッドマウントディスプレイを装着して体験できる(VR特典付きチケットが必要)。「フォトグラメトリー技術の進化によってかなり精度の高いPerfumeの3Dデータを生成することが出来る様になりました。2010年よりPerfumeのダンスしている様子を3Dデータで取得していますが、3Dデータの生成技術の進化によって表現やアーカイブの幅が大きく広がりました」。
そして、フィジカルとデジタル、映像表現とリアルスペースを行き来する表現のために制作したカスタムメイドのデバイスやソフトウェアが一堂に集まる「Behind The Scene」。会場最奥には、冒頭の「Flash – Virtual Reality」と同様、楽曲『Flash』の映像演出のために取得した3人のフォトグラメトリデータを二次利用した新作「Flash – Immersive Projection」が。ここでは、「Cave」と呼ばれる没入型の環境で鑑賞することができる。
InstagramをはじめSNS上で人気を博しているのが、「Tiny Baby – Augmented Reality」。これは楽曲『Tiny Baby』の演出で使用したリアルタイム顔認識技術を用いたインスタレーションで、Perfumeのビジュアルエフェクトを実際に体験できるコーナー。同時にエフェクトを体験できるのはPerfumeと同じ3名のため、ぜひ友人や家族、居合わせた来場者と一緒に試してみてほしい。