村上三郎 作品 1957 ミクストメディア、板 芦屋市立美術博物館蔵 © MURAKAMI Tomohiko (出品会場:国立国際美術館)
10月に全国で開幕する主要な展覧会をピックアップ! 気になる展覧会はTokyo Art Beatのアプリで見逃し防止のブックマークがおすすめ。開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
3月に創立150周年を迎えた東京国立博物館では、所蔵する国宝89件すべてを展示する特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が開催される。国宝全件が公開されるのは、史上初。ほかにも同館を代表する重要文化財の公開や、トーハク150年の歩みを追体験するセクションなど見どころが満載だ。雪舟《秋冬山水図》、狩野永徳《檜図屛風》などの絵画や、「古今和歌集」などの書跡、19件におよぶ刀剣など、見ておきたい国宝を一度に楽しめる最大のチャンス。詳細はニュースをチェックしてほしい。
会場:東京国立博物館
会期:10月18日~12月11日【12月18日まで会期延長 *12月5日追記】
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戦後すぐに兵庫県の芦屋で結成され、画家の吉原治良を中心に活動した美術家集団「具体美術教会(具体)」。その歩みを「分化」と「統合」というふたつの視点からとらえ直す大規模な回顧展が、今年2月に開館した大阪中之島美術館と、それに隣接する国立国際美術館にて開催される。170点という大規模な作品作品数もさることながら、彼らのパフォーマティブな活動にも注目。アドバルーンによる空中展覧会「インターナショナル スカイ フェスティバル」の再現も行われる予定だ。詳細はニュースをチェック。10月15日から大阪中之島美術館で開催される「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年」展も合わせて見ておきたい。
会場:大阪中之島美術館、国立国際美術館
会期:10月22日~2023年1月9日
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国立新美術館での「ルートヴィヒ美術館展」に続き、国立西洋美術館に、ベルリン国立ベルクグリューン美術館の名品が来日。美術商ハインツ・ベルクグリューンによるそのコレクションの中核を担うのは、ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティの作品だ。主要作品がまとめて国外に貸し出されるのは史上初。来日する作品97点のうち、76点が日本初公開となる。
会場:国立西洋美術館
会期:10月8日~2023年1月22日
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20世紀にアメリカとパリで活動し、絵画をはじめ写真、オブジェ、映画など多岐にわたる作品を手がけたマン・レイ。本展はそのオブジェ作品に焦点を当てる。ものや言葉の詩的な組み合わせで成り立つそのオブジェは、同じ主題のオブジェを再制作したことも注目だ。国内所蔵のオブジェおよそ50点を軸として、関連する作品や資料を合わせた約150点が紹介される。
10月22日から神奈川県立近代美術館 葉山館で開催される、「マン・レイと女性たち」展と合わせて見るのもよいだろう。
会場:DIC川村記念美術館
会期:10月8日~2023年1月15日
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全身が青い人体彫刻など、単色の作品で知られるイヴ・クライン。彼を中心に、イタリアの空間主義運動や日本の具体などの同時代の作家、さらに現代の作家を加えて、彼らの芸術に共通する「非物質性」というテーマに主眼を当てる展覧会が、金沢21世紀美術館にて開催される。気候変動やウィルス、インターネットなど無数の「見えないもの」が起こす渦中で生きる私たちに、いま、ここにないものを感じ、想像し、不確かな現在を乗り越えていく喜びと力を示すことを試みる。
会場:金沢21世紀美術館
会期:10月1日~2023年3月5日
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「すべての人に開かれたアートフェア」をスローガンに、11回目を迎える3331 Art Fair。今年は、10月29日〜30日の2日間の開催だ。その特色は、もともと中学校であった建物を利用し、ホワイトキューブや体育館、屋上まで、多様な空間とその特徴を活かした展示・販売。若手工芸作家の作品販売や、メディアアーティストの藤幡正樹がキュレーションするNFT販売プロジェクトも注目したい。3331 Arts Chiyodaでの最後の開催となる今回、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。今年の出展ギャラリーなど、詳細はニュースをチェック。
会場:3331 Arts Chiyoda
会期:10月29日~30日
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10月27日〜30日のあいだ、東京都現代美術館では12回目を迎えるTOKYO ART BOOK FAIRが開催。独創的なアートブックを制作する出版社、ギャラリー、アーティストらが、国内外からおよそ200組集結する。フランス特集や、ボッテガ・ヴェネタ、資生堂による特別展、昨今アートブックシーンで注目を集めるリソグラフ作品をご紹介するプログラムなどが企画されている。
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2022は八重洲、日本橋、京橋といった東京駅東側エリアを舞台に展開される屋外型国際写真展。森山大道の特別展や国内外の写真家によるグループ展のほか、写真家や批評家などのトークイベント、学生向けのプロジェクトなどが展開される。参加作家は100組以上。会期30日間、13会場と開催規模は過去最大だ。
会場:Tokyo Institute of Photographyほか
会期:10月1日~30日
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東京国立近代美術館で、大きな反響を呼んでいるゲルハルト・リヒターの大規模個展。アブストラクト・ペインティング、フォト・ペインティングといった代表シリーズが一堂に会する本展は、愛知県の豊田市美術館へ巡回。すでに東京で見た人も、異なる展示空間でのリヒター作品を見に訪れてみてはいかがだろうか。展示の見どころをまとめたフォトレポートや志賀玲太による本展レビューもチェック。展示の裏側を知りたい方は、本展のキュレーター、桝田倫広と鈴木俊晴の対談(前編・後編)をぜひ読んでほしい。
会場:豊田市美術館
会期:10月1日~2023年3月5日
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大阪中之島美術館で開催されている岡本太郎の大回顧展は東京都美術館へ。表現活動が多岐にわたる太郎は、「何が本職なのか?」と問われると、「人間―全存在として猛烈に生きる人間」という。本展は、《太陽の塔》を始めとする代表作はもちろん、これまであまり注目されてこなかった晩年の作品なども紹介しながらその、「猛烈」なる生涯の全貌に迫る。大阪での展示の様子はフォトレポートをチェック。
会場:東京都美術館
会期:10月18日~12月28日
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神奈川県立近代美術館 葉山館では、内藤礼《恩寵》が7年ぶりに展示。本作は、鎌倉館の閉館まで、鶴岡八幡宮内にある平家池に臨むテラスに常設されていた。個展当時の作品や新作と合わせて、新しい展示として葉山で生まれ変わる。
10月22日から同じ葉山館でスタートする「マン・レイと女性たち」や鎌倉別館で開催中の「沖潤子 さらけでるもの」を合わせて見るのもよいだろう。
会場:神奈川県立近代美術館 葉山館
会期:10月22日~2023年1月22日
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2001年から始まった「BIWAKOビエンナーレ」は10回目となる開催が決定。記念すべきテーマは「起源〜ORIGIN」。会場には、昨年までの近江八幡市街や彦根市街に加え、びわ湖に浮かぶ有人の島沖島や中山道の旧宿場町である鳥居本も追加される。作家陣には米谷健+ジュリア、佐々木類、市川平、江頭誠、トーマス・フォイエルスタイン、イシャム・ベラダなど70組以上を予定している。
会場:近江八幡まちや倶楽部ほか
会期:10月8日〜11月27日
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プラダ青山店では、サイモン・フジワラの個展が開催。フジワラがコロナ禍のロックダウンの時期に創造したマンガのキャラクター「Who」を主人公にした本展は、自分がイメージの存在であることだけは理解しているWhoが「Whoの世界(Whoニバース)」をめぐりながら、自分が何者なのかを探っていくプロセスをユーモラスに構成する。詳細はニュースをチェック。
会場:プラダ 青山
会期:10月15日~2023年1月30日
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初台にある東京オペラシティ アートギャラリーでは、写真家・川内倫子の個展が開催される。写真集『うたたね』、『花火』(リトルモア、2001)の2冊で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞した川内。その作品は、柔らかい光をはらんだ独特の淡い色調が印象的。身の回りの家族や動植物といった日常的なものと、火山や氷河などの壮大な自然を結びつける。アイスランドなどを撮影し地球との繋がりをテーマとする「M/E」に加えて、これまで発表してきたシリーズや、コロナ禍における日常を撮影した新作群が公開される。
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:10月8日〜12月18日
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19世紀末のパリで活躍したナビ派の画家フェリックス・ヴァロットン。本展は、三菱一号館美術館が持つ、世界有数のヴァロットン版画コレクション約180点が一挙に初公開される。アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックも並ぶ特別展示に注目したい。当時革新的とされた、ヴァロットンによる黒一色の木版画を概観できるチャンスだ。
会場:三菱一号館美術館
会期:10月29日〜2023年1月29日
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『Michi』『の』『怪物園』など、近年出版した絵本が話題となっている画家、junaida(ジュナイダ)。その作品に迫る展覧会が、立川にあるPLAY! MUSEUMにて開催される。ヨーロッパを思わせる謎めいた世界観や、細密に描きこまれた人物や背景など、絵本原画や本展のための描き下ろし作品など、400点を超える作品が公開となる。
会場:PLAY! MUSEUM
会期:10月8日〜2023年1月15日
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水中や高地、宇宙といった未知の領域と人間との関わりをテーマにした作品を手がけてきた野口里佳の個展が、東京都写真美術館で開催される。初期作品《潜る人》(1995)から最新作《ヤシの木》(2022)までが並ぶ本展。写真と映像、ドローイングによって構成される本展では、時間や場所も超えていくような、写真・映像の「不思議な力」に迫る。
会場:東京都写真美術館
会期:10月7日〜2023年1月22日
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愛媛県美術館では、きたる2023年が弘法大師(空海)の生誕1250年にあたることを記念して、高野山金剛峯寺の選りすぐりの名宝約40件が紹介される。高野山と伊予(現在の愛媛県)とのつながりを示す資料も展示予定だ。本展を通して、空海の精神と壮大な高野山の歴史にふれてみてはいかがだろうか。
和紙に櫨蝋、和ゴマなど身近なものを素材やモチーフとし、パワフルな作品を制作する牛島智子。本展は、80年代の初期作から、90年代前半のシェイプド・キャンパスの大作、福岡に拠点を移した頃のドローイングや絵画、そして新作のインスタレーションまで作家の制作を包括する企画だ。作品制作と地域との協働という「二重らせん」に注目したい。