公開日:2022年6月30日

7月スタートの全国おすすめ展覧会! 国際芸術祭「あいち2022」、岡本太郎個展、インテリアデザイン好きなら必見の企画も

全国で7月にスタートするおすすめ展覧会を紹介。

アンネ・イムホフ Natures Mortes 2021 Palais de Tokyo, Paris Cast:Eliza Douglas Photo by Nadine Fraczkowski Courtesy of the artist and Palais de Tokyo

7月に全国で開幕する主要な展覧会をピックアップ! 気になる展覧会はTokyo Art Beatのアプリで見逃し防止のブックマークがおすすめ。開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。

大岩雄典「渦中のP」(space[十和田市現代美術館サテライト会場])

多層な空間と、物語やせりふといった言葉を中心にした作品の制作や、研究、執筆、キュレーションなど、多岐にわたり活動する大岩雄典の個展が、十和田市現代美術館のサテライト会場「space」で行われる。
「space」は、アーティストグループの目[mé]が1軒の空き家をホワイトキューブへと改装した作品。大岩は美術館での初の作品発表となる本展のために、展示会場であり、目[mé]の作品でもある「space」と、その周辺の十和田市街の空間が持つ性質を注意深く観察し、応答する。

「渦中のP」イメージヴィジュアル

会場:space(十和田市現代美術館サテライト会場)
会期:7月1日~9月4日
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立花文穂展 印象 IT'S ONLY A PAPER MOON(水戸芸術館現代美術ギャラリー)

文字や紙、本を素材・テーマに作品を制作してきたアーティスト、立花文穂(たちばな・ふみお)による、美術館での初個展が開催。広島で製本業を営む家に生まれ、幼少期から身近に存在した紙や印刷物、文字などから着想を得て、「よせ集める」「つなぎ合わせる」という行為を通じ新たなかたちを作り出してきた立花。2007年からは、責任編集とデザインを自らが担当し発信する媒体として『球体』を刊行している。本展は、「印象」(英語では「IMPRINT/IMPRESS」)というタイトルのもと、印刷/印字と象形(かたどる/かたち作る)という立花の創作の思想・思考に深く触れられる機会になるだろう。

立花文穂 クララ洋裁研究所 2000 撮影:久家靖秀

会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
会期:7月23日~10月10日
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鈴木大拙展 Life=Zen=Art(ワタリウム美術館)

欧米圏に禅の思想を伝えたことで知られる仏教哲学者・鈴木大拙。東京・ワタリウム美術館ではその活動を伝えるイベントがこれまでも開催されてきたが、7月5日からは大拙と諸芸術の関わりを伝える展覧会が開かれる。出品作家は木喰明満、岡倉天心、南方熊楠、西田幾多郎、柳宗悦、棟方志功、ジョン・ケージ、ヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、谷口吉生、坂本龍一、山内祥太、大拙本人を含めた13組。本展協力は岡村美穂子(鈴木大拙館名誉館長、元日本民藝館評議員) 、テキストは安藤礼二(文芸評論家)。

ジョン・ケージ マルセルについて何も言いたくない 1969 ワタリウム美術館蔵

会場:ワタリウム美術館
会期:7月12日~10月30日
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ライアン・ガンダー われらの時代のサイン(東京オペラシティ アートギャラリー)

日常生活で気に留めることすら忘れているあたりまえの物事への着目を出発点として、オブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像などを手がけてきたライアン・ガンダー。東京では初の大規模個展が行われる。本展は、当初2021年4月からの開催を予定していたもので、コロナ禍により延期を余儀なくされていたため、アートファンのみならずアーティスト自身にとっても待望の開催に。昨年の開催延期の代案としてガンダーから提案、実施された「個展あらためガンダーが選ぶ収蔵品展」も再度行われるため、去年展示を見逃した方も見られるチャンス。

「ストーリーはいつも不完全……」「色を想像する」 ライアンガンダーが選ぶ収蔵品展会場風景 撮影:中川周

会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:7月16日~9月19日
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企画展示「クマのプーさん」展(PLAY! MUSEUM)

イギリス人作家のA. A. ミルン作、E. H. シェパードの挿画による児童小説『クマのプーさん』(Winnie-the-Pooh)。少年クリストファー・ロビンのクマのぬいぐるみ、プーと仲間たちが過ごす日常がユーモラスに綴られる本著をディズニーがアニメ化し、世界的に親しまれてきた。
本展は、シェパードが1950〜60年代に描いた貴重なカラー原画約100点とミルンの文章とで、クマのプーさんの物語世界をじっくりとたどるというもの。クリストファー・ロビンが大好きなプーや仲間たちと過ごした「夢のような時間」が空間全体に広がる。シェパードが描いた原画とミルンの言葉との響き合いをより楽しむため、建築家の齋藤名穂とアートディレクターの田部井美奈がインテリアやグラフィックをデザイン。展覧会監修は安達まみ(聖心女子大学教授)。

E. H. シェパード『絵本 クマのプーさん』原画 1965 E. H. Shepard, Illustration for The Pooh Story Book by A. A. Milne. Courtesy of Penguin Young Readers Group, a division of Penguin Random House, LLC. © 1965 E. P. Dutton & Co., Inc.

会場:PLAY! MUSEUM
会期:7月16日~10月2日
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ジャン・プルーヴェ展(東京都現代美術館)

90年代以降再評価が高まり、国内外で高い人気を誇るフランスの建築家、デザイナー、ジャン・プルーヴェの大規模な展覧会が開かれる。アルミニウムやスチールといった新たな建築素材を探求するとともに、解体・持ち運び可能な椅子やプレファブ建築などの新技術を開発したプルーヴェの仕事は、デザイン、工芸、建築などひとつの分野に収まることなく、ジャン・ヌーヴェルやレンゾ・ピアノをはじめ、20世紀の建築・工業デザインの分野に大きな影響を与えた。本展は、現存するオリジナル家具およそ100点、ドローイング、資料の展示に加え、移送可能な建築物の展示を通じて、プルーヴェの仕事を網羅的に紹介する。

会場:東京都現代美術館
会期:7月16日~10月16日
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フィン・ユールとデンマークの椅子(東京都美術館)

デザイン大国として知られるデンマーク。1940年代から60年代にかけて、歴史に残る優れた家具が生み出されが、同国のデザイナーのなかでも、フィン・ユールはひときわ美しい家具をデザインしたことで知られている。本展は、デンマークの家具デザインの歴史と変遷をたどり、その豊かな作例が誕生した背景を探るとともに、モダンでありながら身体に心地よくなじむユールのデザインの魅力に迫る試み。
優雅な曲線を持ち「彫刻のような椅子」とも評される椅子のデザインに始まり、理想の空間を具現した自邸の設計や、住居や店舗、オフィスのインテリアデザイン、そしてアイデアを伝えるために描いたみずみずしい水彩画まで、フィン・ユールの幅広い仕事を知る機会になるだろう。

フィン・ユール イージーチェア No.53 1953デザイン 織田コレクション 撮影:大塚友記憲

会場:東京都美術館
会期:7月23日~10月9日
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東北へのまなざし1930-1945(東京ステーションギャラリー)

太平洋戦争へと傾斜を深めるいっぽう、生活文化が変容し、モダンとクラシック、都会と地方の両極で揺れ動いた1930年代以降の日本。この頃の東北地方には、民藝運動の柳宗悦、フランスのデザイナー、シャルロット・ペリアンなど先端的な意識をもった人々が相次いで訪れた。そして昭和期に入ると、考現学の祖として知られる今和次郎や、『青森県画譜』を描いた弟の今純三、東北生活美術研究会を主導した吉井忠ら東北出身者たちも、故郷の人々と暮らしを見つめ直し、戦中期の貴重な記録を残した。
本展は、こうした東北に向けられた複層的な「眼」を通して、豊かな文化の揺籃としての東北を見つめ直すと同時に、そこに生きる人々の営為が、現在と地続きであることを検証する。

会場:東京ステーションギャラリー
会期:7月23日~9月25日
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生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎(アーティゾン美術館)

ともに現在の福岡県久留米市に生まれ、同じ高等小学校で学び、同じ洋画塾で画家を志した青木繁(1882-1911)と坂本繁二郎(1882-1969)は、日本の洋画が成熟へと向かう時代の流れのなかで、それぞれに独自の作風を探求した。
生誕140年という記念すべき年に開催する本展は、ふたりの約250点の作品で会場を構成。それぞれの特徴や関係をよく表す作品を中心に据え、それぞれの生涯をときに交差させながら「ふたつの旅」をひもといていく。

会場:アーティゾン美術館
会期:7月30日~10月16日
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工藤麻紀子展 花が咲いて存在に気が付くみたいな(平塚市美術館)

色面による構成と装飾的な表現により日常の生活を題材にした心象風景を描き続ける工藤麻紀子の、国内美術館における初個展が開かれる。
視点を混在させた構図やコラージュのようにモチーフの配置し、マティスやボナールに通じる色彩と装飾性を兼ね備えた工藤の作品。国際的にも高く評価され、作品を見る人にとって、記憶にある風景や出来事を呼び覚ます、親密さとストーリー性も有している。本展は新作とインスタレーション作品を含む約120点により現在までの活動を紹介する。

会場:平塚市美術館
会期:7月9日~9月11日
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ジブリパークとジブリ展(長野県立美術館)

11月1日、愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」内にジブリの世界を表現した公園施設・ジブリパークが開園する。制作現場を指揮するのは「サツキとメイの家」や、「三鷹の森ジブリ美術館」などの建築物を手がけ、映画『ゲド戦記』『コクリコ坂から』『アーヤと魔女』などのアニメーション作品を生み出してきた宮崎吾朗監督。全国に先駆けてジブリパークを楽しめる展示となる(その後愛知、熊本、兵庫、山口へと巡回)。

ジブリパークヴィジュアル  © Studio Ghibli

会場:長野県立美術館
会期:7月16日~10月10日
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国際芸術祭「あいち2022」(愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区)

「あいち2022」は2010年から3年ごとに開催されてきた「あいちトリエンナーレ」の後継となる、国内最大規模の国際芸術祭。今回は森美術館館長の片岡真実が芸術監督を務め、「STILL ALIVE(いまだ生きている)」をテーマに愛知芸術文化センターのほか、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)のまちなかを会場に広域に展開。「現代美術」「パフォーミングアーツ」「ラーニング」「連携事業」「オンライン展開」をプログラムの主軸に、最先端の芸術を発信する。
「現代美術」にはホダー・アフシャール、リリアナ・アングロ・コルテス、ヤコバス・カポーン、ケイト・クーバー、メアリー・ダパラニー、遠藤薫、潘逸舟(ハン・イシュ)、河原温、バイロン・キム、アンドレ・コマツ、小杉大介、ミシェック・マサンヴ、三輪美津子、モハンマド・サーミ、百瀬文、奥村雄樹、カズ・オオシロ、プリンツ・ゴラーム、眞田岳彦、笹本晃、塩田千春、横野明日香ら80組が参加。

アンネ・イムホフ Natures Mortes 2021 Palais de Tokyo, Paris Cast:Eliza Douglas Photo by Nadine Fraczkowski Courtesy of the artist and Palais de Tokyo

会場:愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区
会期:7月30日~10月10日
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展覧会 岡本太郎(大阪中之島美術館)

1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)のテーマ館《太陽の塔》で知られ、今日でも幅広い世代の人々を魅了する芸術家・岡本太郎。その芸術人生を振り返る大回顧展が開かれる。
表現活動が多岐にわたることから「何が本職なのか?」と問われることも多かった太郎の答えは「人間―全存在として猛烈に生きる人間」。代表作はもちろん、これまであまり注目されてこなかった晩年の作品なども紹介しながらその生涯をたどる本展で、《太陽の塔》だけではない、岡本太郎の全貌を楽しみたい。

会場:大阪中之島美術館
会期:7月23日~10月2日
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今井俊介 スカートと風景(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)

鮮やかなストライプが印象的な絵画シリーズを手がける今井俊介による、美術館での初個展が開催へ。独自のポップな色彩感覚で、波や旗のようにも見えるイメージを表した絵画シリーズは、あるときふと目にした知人の揺れるスカートの模様や、量販店に積み上げられたファストファッションの色彩に強く心を打たれた体験が原点となっている。
本展は、具象と抽象、平面と立体、アートとデザインという境界を軽やかに行き来してきた今井の初期作品から最新作までを、絵画を中心に立体や映像、インスタレーションなど、形態の異なる表現をあわせて紹介。

会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
会期:7月16日~11月6日
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みる誕生 鴻池朋子展(高松市美術館)

絵画、彫刻、手芸、歌、映像など様々なメディア、旅でのサイトスペシフィックな表現を通して、芸術の根源的な問い直しを続けている鴻池朋子。今回の展覧会に際して、鴻池は生まれたての体で世界と出会う驚きを「みる誕生」と名付けた。
観客は眼だけではなく、手で看(み)る、鼻で診(み)る、耳で視(み)る、そして引力や呼吸で観(み)て、美術館という強固な建築と、疎遠になってしまった自然界とに新たな通路を開き、新作の《どうぶつの糞》の模型、牛革ツギハギの《皮トンビ》などを、人間の痕跡である美術館のコレクションと共存させる。

会場:高松市美術館
会期:7月16日~9月4日
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