ヴォルフガング・ティルマンス 静物、ボーン・エステート 2002 ポーラ美術館 ©︎ Wolfgang Tillmans Courtesy of Wako Works of Art
2023年1月に全国で開幕する主要な展覧会をピックアップ! 気になる展覧会はTokyo Art Beatのアプリで見逃し防止のブックマークがおすすめ。開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
2022年10月に東京・丸の内の明治生命館に移転、開館した静嘉堂文庫美術館では、23年の干支である「うさぎ」をテーマにした企画展がスタート。展示ポスターにも映る、兎の冠を戴く総勢58体の御所人形の行列は、卯年生まれの三菱第4代社長・岩﨑小彌太の還暦を祝って注文・製作されたもの。めでたい御所人形たちを中心に、正月にふさわしい縁起のよい絵画・工芸作品が展示される。
19世紀末、文化が大きく揺れ動く激動のウィーンで活動し、早世した画家エゴン・シーレ(1890〜1918)。本展は、世界有数のシーレ・コレクションで知られるウィーンのレオポルド美術館の全面協力のもと開催される、日本では30年ぶりの大回顧展。シーレの油彩画、ドローイングなど約50点が来日するほか、クリムト、ココシュカ、ゲルストルら同時代の作家作品も公開される。エゴン・シーレを筆頭に、ウィーン世紀末美術を概観できる展覧会だ。
大阪中之島美術館の開館1周年を祝う本展は、明治から昭和に至る近代大阪の日本画に注目する初の展覧会。 北野恒富、島成園、菅楯彦、矢野橋村など、50名以上の画家による作品が、約150点公開される。東京や京都とは異なる文化圏を形成していることで、町人文化に支えられ、伝統にとらわれない自由闊達な表現が多彩かつ大きく花開いた大阪。個々の作品を楽しむことはもちろん、絵画を通じて大阪の街文化の特色を知ることもできるはずだ。
新型コロナウイルス感染症の影響で、私たちの生活は大きく変化し、「部屋」という空間で過ごすことが増えた。室内は安心をもたらすいっぽう、閉塞感も与えるだろう。本展は、19世紀から現代まで、部屋にまつわる作品を紹介。ピエール・ボナール、ベルト・モリゾ、ヴィルヘルム・ハマスホイ、エドゥアール・ヴュイヤール、アンリ・マティスらの作品が展示されるほか、ヴォルフガング・ティルマンスと草間彌生の新収蔵品、コロナ禍以降の生活を示唆する髙田安規子・政子と佐藤翠+守山友一朗による作品にも注目したい。
大阪、東京、パリ。3つの都市で活動した画家・佐伯祐三(1898〜1928)。その生誕125周年を記念する本展は、日本最大級の質と量を誇る大阪中之島美術館の佐伯祐三コレクションを中心に、画家の代表作が一堂に集結。3つの街での佐伯の足跡をたどり、彼の独創性がいかにして生まれたのか、その過程に迫る。なお本展は、4月から大阪中之島美術館へ巡回予定だ。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:1月21日〜4月2日
展覧会詳細
泉太郎は映像、パフォーマンス、ドローイング、絵画、彫刻といったさまざまなメディアを交錯させるインスタレーションで知られるアーティスト。近年は、パレ・ド・トーキョー(パリ、2017年)、ティンゲリー美術館(バーゼル、2020年)で個展を開催してきた。泉にとって、東京の美術館では初個展となる本展は、これらの凱旋展という位置付け。古墳や陵墓、ストライキ、再野生化、仮病、鷹狩におけるマニング(懐かせる)やフーディング(目隠し)など、様々な言葉を組み合わせた作品が展示される。
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:1月18日~3月26日
展覧会詳細
リュイユとは、フィンランドの織物のこと。16世紀にはすでに寝具として使われていたリュイユは1900年の万博を機に注目を浴び、50年代にはガラスや陶芸と同様にフィンランドのデザインとして国際的な評価を高めた。本展は、トゥオマス・ソパネン・コレクションというフィンランド国立博物館と比肩するリュイユのコレクションを、日本で初めて紹介。リュイユの歴史を概観できる重要な作品を厳選し、主に50年代以降に制作された作品約40点を公開する。
会場:京都国立近代美術館
会期:1月28日〜4月16日
展覧会詳細
1965年にデビューして以来、オブジェや絵画、写真などのメディアを横断しながら制作しつつ、唐十郎や寺山修司による演劇の舞台美術やポスター原画なども手がけた合田佐和子。本展は作家の没後初にして、過去最大規模の回顧展。初期のオブジェから初公開となる晩年の鉛筆画シリーズまで、300点を超える作品や資料を体系的に検証する企画だ。展覧会タイトルの「もう帰る途(みち)もつもりもなかった」とは、合田が晩年の手稿に残した言葉。立ち止まることなく作風を変化させ、激しくも華やかに駆け抜けた作家の生涯を、展覧会を通じて知るまたとない機会だ。なお本展は、2023年1月15日まで、高知県立美術館で開催されている。
会場:三鷹市美術ギャラリー
会期:1月28日~3月26日
展覧会詳細
東京で唯一、大名家の美術館として知られる永青文庫は、8年ぶりに国宝の刀剣4口が揃って公開。ほかにも「刀銘濃州関住兼定作(歌仙兼定)」など、同館設立者の細川護立によって集められた名刀が、蒐集エピソードとともに展示される。会期中には、文京区と『刀剣乱舞ONLINE』のコラボレーションによるスタンプラリーやオリジナルグッズの販売など、関連イベントが満載だ。
堤大介はピクサー出身のアニメーションアーティスト。同僚だったロバート・コンドウと企画するアメリカのアニメーションスタジオ「トンコハウス」でも知られている。本展は、堤が監督を務める、Netflixオリジナルの長編アニメーション『ONI〜神々山のおなり』を空間演出で味わう新しいエンターテインメント。映像や言葉、音や光の演出に民俗資料を融合させた展示空間で、自宅やデスクトップだけでは味わえない没入感を体験してみてはいかがだろうか。
会場:PLAY! MUSEUM
会期:1月21日〜4月2日
展覧会詳細
柚木沙弥郎は1922年生まれの染色家。彼の生誕100年を記念する本展では、初作品から近作に至る染色品を展示するとともに、時代や産地、手法の異なる工芸品やプリミティブな造形とのコラボレーションを試みる。会期中には「九州・沖縄の陶器」と「革工芸」展示もあるため、合わせて見ておきたい。
江戸時代の浮世絵から現代にいたるまで、多くの人々を魅了してきた「美人画」。本展では、国内屈指の近代美人画コレクション「培広庵コレクション」から、鏑木清方、上村松園、竹久夢二、伊藤深水、北野恒富ら、20世紀の画家たちの作品約60点が四季に分けて展示されるとともに、麻布に岩絵具で描く美人画で知られる池永康晟の代表作約20点も公開される。