李禹煥、フランス、アングレームでの《Relatum - The Shadow of the Stars》設置作業、2021 Photo ©︎ Lee Ufan
8月に全国で開幕する主要な展覧会をピックアップ! 気になる展覧会はTokyo Art Beatのアプリで見逃し防止のブックマークがおすすめ。開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
「海の復権」をスローガンに掲げる瀬戸内国際芸術祭は8月から夏会期がスタート。木ノ下歌舞伎、片岡純也+岩竹理恵、ソピアップ・ピッチ、保科豊巳ら初参加の作家をはじめ、コシノジュンコ、青木野枝、村山悟郎など100組以上が参加する。新作に限らず、常設されている直島の草間彌生《赤かぼちゃ》や高松築地駅付近のジュリアン・オピー《銀行家、弁護士、看護師、探偵》など、これまでの名作たちもあわせて見に行ってみよう。春会期のフォトレポートも読んでおきたい。
会場:高松港周辺、直島、豊島ほか
会期:8月5日〜9月4日(夏会期)
展覧会詳細
昨年8月に前期が開催された「Reborn-Art Festival 2021-22」は今年も8月から後期がスタート。震災から10年目となる今回は「利他」と「流動性」をテーマに掲げ、「アート」「⾳楽」「⾷」を楽しむことを試みる。アートキュレーターに和多利恵津子・浩一(ワタリウム美術館)を迎え、朝吹真理子、川俣正、山内祥太、プロダクション・ゾミアをはじめ28組の作家が参加する。昨年開催された前期のフォトレポートからその雰囲気を感じてほしい。
会場:石巻地域
会期:8月20日〜10月2日(後期)
展覧会詳細
国立新美術館は開館15周年を記念して李禹煥の大規模個展を開催。「もの派」を代表する作家として知られる李禹煥は、1934年に韓国で生まれ、大学時代に来日。60年代後半に本格的に制作を始めた。国内の美術館では12年ぶりの個展となる本展では、視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた「関係項」シリーズ、静謐なリズムを奏でる精神性の高い絵画など、代表作が一堂に集結する。
場所やものに宿る人の痕跡や記憶を感じさせる素材を用い、大量の糸、鞄、窓などでインスタレーションをしつらえる塩田千春。その個展が大分県別府市内で開催される。「東アジア文化都市2022大分県」の一環として行われる本展では、別府駅周辺に塩田の作品が登場。市内のサテライト会場では資料展示があるほか、会期中盤からは関連する小冊子の販売も予定されている。
会場:大分県別府市中心市街地
会期:8月5日〜10月16日
展覧会情報
東京都写真美術館にて開催される「イメージ・メイキングを分解する」展は、絵画や写真、映像がもたらす「イメージ」を生み出す装置や仕組みに注目する展覧会。カメラ・ルシーダ、ゾートロープといった映像装置やコンピューター・グラフィックスによる「アート・エクス・マキナ」、木本圭子のアルゴリズムによる点描など、多様なイメージの作り方が紹介される。
会場:東京都写真美術館
会期:8月9日~10月10日
展覧会詳細
愛媛県美術館は「みること」に注目した展覧会「みる冒険 ゆらぐ感覚」を開催する。同館の所蔵品に加え、視覚以外の感覚でとらえた世界を、さわる形や記憶の色で表現する光島貴之と、身近な素材を用い、視覚や聴覚などの知覚を問い直す八木良太の作品も展示される。作品を通して、目には見えないものに想像を巡らせたり、意外な見え方を発見したり、これまでにない感覚に出会うことができるだろう。
スパイラルでは、カンボジアのアーティスト、キム・ハクによる写真展が開催される。キム・ハクは圧政と虐殺という、自分の親世代に起きたカンボジアの痛ましい歴史と個人の記憶に関心を寄せ、生き延びた人々を訪ね、彼らの持ち物とその物語を記録するプロジェクト「生きる(Alive)」を2014年からスタート。その後、2020年に国際交流基金アジアセンターのフェローシップを受けて来日すると、神奈川県を中心にカンボジアにルーツを持つ人々と出会い、シリーズの第4章であり、本展で公開される「生きる IV」を制作した。なお本展は終了後、横浜の高架下スタジオSite-Aギャラリーでも開催予定。そちらの会期は9月9日〜9月25日まで。