宮城県の石巻市、牡鹿半島を中心に網地島を含む7つのエリアで展開される芸術祭「Reborn-Art Festival 2019」(以後、RAFと略す)。2回目の開催となる今回は、全体テーマを「いのちのてざわり」とし、2019年8月3日より開催しています。東京から石巻まで新幹線と電車で約3時間。石巻から網地島まで船で約1時間。東京から遠く離れた地で感じる「いのちのてざわり」とは何か。
まずは一番訪れることをオススメしたい網地島エリアから紹介します。
網地島エリア※8月20日(火)より開始
石巻市の南沖合いに浮かぶ島、網地島は「東北のハワイ」と呼ばれるほど透明度の高い海と白い砂浜に囲まれるリゾート地です。今回のRAFより会場として初めて登場しています。連絡船「網地島ライン」に乗って石巻から約1時間で到着できる風光明媚な島です(天候により船が欠航になる可能性あり)。
島の玄関口である網地港に着くと、前回のRAFも参加したアーティスト、バリー・マッギーの作品が見えます。
網地港より徒歩で15分ほど山を登った先にある「熊野神社」に次の作品群があります。
1947年にオーストリアに生まれ、現在ウィーンを拠点に活動中のアーティスト、ロイス・ワインバーガー。農業で培った眼差しをベースにユーモアを交えて、アートと自然の関係について作品制作を続けてきました。
ワインバーガーは東京・外苑前のワタリウム美術館でも個展を開催中です。
島中心部にある旧校舎では、アルジェリア生まれのアーティスト、フィリップ・パレノの光のインスタレーション《類推の山》を体験できます。本作品はフランスの詩人、ルネ・ドーマルによって書かれたシュルレアリスム小説《類推の山》から着想を得て制作されました。レンズのないプロジェクターから放出される光の明滅が空間全体を照らし出します。
日本の他の地域同様、網地島も人口過疎化が進んでおり、東日本大震災の影響も相まって、空き家になった家が多数あります。アーティストの持田敦子はそれを「宙に浮いた家」だとし、空き家を切断、建築ジャッキで持ち上げました。
フィリップ・パレノ《類推の山》と持田敦子の《浮く家》を体感している動画はTABインスタをチェック!
8月31日(土)〜9月1日(日)と9月22日(日)〜23日(月・祝)には、網地島エリアを巡るツアーも開催。詳細はRAF公式ホームページ内のこちらを参照ください。
石巻エリア
東京から仙台、石巻ときて一番最初に目にするであろう作品は、このエリアのインフォメーションでもある「旧観慶丸」にあります。シンガポール生まれのザイ・クーニンによるインスタレーション《茶碗の底の千の目》は、市井の人々から集めた大量のお茶碗によって構成されいます。石巻初の百貨店として建てられ、後に陶器店として市民に親しまれた観慶丸にふさわしい作品です。
桃浦エリア
石巻駅から車で約30分、牡鹿半島の北西に位置する桃浦エリア。アーティスト・コレクティブ「SIDE CORE」は《Lonely Museum of Wall Art》(孤独な壁の美術館)と題し、防波堤に美術館を建設しました。
都市や自然といった環境の中の見えない変化や動き、気配を彫刻にしている森山泰地。森山による作品が美術館のすぐ隣に位置しています。
海を背にして防波堤と同じ高さで立つ舞台は、水神がそこにいる/いないという状況も含んだ作品です。桃浦にあったが津波の影響で失われた祠を見立てることも一つの目的として作られました。
小積エリア
牡鹿半島の真ん中あたりに位置する小積エリア。写真家の志賀理江子は小積で会った猟師と対話し、そこで導き出された自然と人間の関係を朽ちた木々と膨大な牡蠣の殻を用いて巨大なインスタレーションを展開しました。
鮎川エリア
石巻駅から車で約1時間、牡鹿半島の南端に位置する鮎川エリア。この地に鮎川の人々やアーティストの交流の場として、詩人の吉増剛造は《詩人の家》を立ち上げました。約2ヶ月の会期中、吉増は執筆含めた作品制作や人々の交流を行います。完全予約制で泊まることもできます。
宿泊施設としての《詩人の家》の空室情報はこちらをご確認ください。
各エリアにインフォメーションが設置されており、ガイドブックの無料配布やパスポートの販売などが行われています。それぞれの場所にについてはこちらを参照ください。
「Reborn-Art Festival 2019」
公式ホームページ: https://www.reborn-art-fes.jp/
開催場所: 石巻駅前エリア、石巻市街地エリア、桃浦エリア、荻浜エリア、小積エリア、鮎川エリア、網地島エリア
会期: 2019年8月3日(土)~2019年9月29日(日)
鑑賞パスポート: 一般 3000円、大学生・高校生・専門学生 2500円、16歳未満無料
All Photo by Xin Tahara