ドイツ出身の世界的アーティスト、レベッカ・ホルンさんが9月7日に亡くなった。享年80。身体の感覚を拡張させる装置を用いたパフォーマンスや、羽や角といった有機的な素材と機械を組み合わせた動く立体作品で知られる。
レベッカ・ホルンは1944年ドイツのミヒェルシュタット生まれ。ハンブルクとロンドンの美術大学で彫刻と絵画を学んだ。1968年に作品制作に使ったグラスファイバーが原因で肺を患い、長期入院中に募った交流への渇望が、身体を拡張するような「動く彫刻」へと発展する。
1978年、代表作である映画『ダンス・パートナー』を発表。同年ミュンスター彫刻プロジェクトで、閉鎖されていたナチスの捕虜処刑所跡を作品として使用した《逆向きのコンサート》を発表、母国ドイツの負の近現代史と向き合う作品が賛否を呼ぶが、後に恒久設置となった。1986年にはカッセル、ドクメンタ賞受賞。立体作品だけでなく、舞台美術やドローイング、詩など様々なメディアを通して作品を制作し、自身の表現を広げてた。
グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、ベルリン新国立美術館をはじめ、欧米を中心に主要な美術館で個展を開催。
日本では2009〜10年に東京都現代美術館で個展「レベッカ・ホルン展-静かな叛乱 鴉と鯨の対話」を開催。2010年、第22回高松宮殿下記念世界文化賞 彫刻部門を受賞した。