公開日:2023年6月24日

森山大道と中平卓馬、永遠のライバルであり同志の初二人展「挑発関係=中平卓馬×森山大道」が神奈川県立近代美術館 葉山で7月開幕

会期は7月15日〜9月24日。同い年で若かりし頃に逗子に住んだふたり、その「挑発関係」を探る

左:中平卓馬 『来たるべき言葉のために』より 1970 © Gen Nakahira Courtesy of Osiris 右:森山大道 神奈川県 逗子市 1969 © Daido Moriyama Photo Foundation

史上初の二人展が、ゆかりの地・神奈川で

日本の写真史に重要な足跡を残してきたふたりの写真家、中平卓馬(1938〜2015)と森山大道(1938〜)。このふたりの関係に焦点を当てる企画展「挑発関係=中平卓馬×森山大道」神奈川県立近代美術館 葉山で開催される。会期は7月15日〜9月24日。

中平と森山は1964年の晩冬、写真家・東松照明の紹介によって知り合った。当時は雑誌編集者であった中平と、写真家としての活動を開始したばかりだった森山は、同い歳であること、ともに逗子に住んでいたことから、頻繁に会うようになったという。

森山大道 神奈川県 逗子市 1969/1970 © Daido Moriyama Photo Foundation
森山大道 神奈川県 鎌倉市 1981 © Daido Moriyama Photo Foundation
森山大道 東京都 新宿区 1966 © Daido Moriyama Photo Foundation

ふたりは寺山修司に請われてその雑誌連載にともに写真を掲載し、1960年代後半には伝説的な写真誌『PROVOKE』の同人になるなど、交流を深め、刺激し合いながらも、それぞれ独自の写真表現を模索。この、お互いを唯一無二の同志として意識し挑発しあう特別な関係は、中平が亡くなる2015年まで、あるいは森山にとってはいまもなお継続している。

本展は、そうした半世紀以上にわたるふたりのつながり——出会い、交流、共同作業、相違、交差、反発、共感、畏敬——を美術館という空間に引き込み、ぶつけ、検証する、はじめての試みとなる。

中平卓馬 『来たるべき言葉のために』より 1970 © Gen Nakahira Courtesy of Osiris
中平卓馬 Untitled 『Documentary』より 2011 © Gen Nakahira Courtesy of Osiris
中平卓馬 Untitled 『Documentary』より 2011 © Gen Nakahira Courtesy of Osiris

なお本展「挑発関係」の英語タイトルは「Provocative Relationship」。『PROVOKE』のサブタイトルは「思想のための挑発的資料」であり、Provocative=挑発的であることは、政治や革命の季節である1960年代を駆け抜けたふたりにとって指針とも言える態度であった。

展示されるのは、美術館のある葉山・逗子を中心とした神奈川県内で撮影された、1960〜80年代の貴重な雑誌や写真集、ヴィンテージ・プリント、本展のために新たに制作したプリント、映像、さらには 2000年代以降の作品など。日本のみならず海外のアートにまで影響を与えてきた、ふたりの「挑発関係」を明らかにするという。

若かりし頃にふたりが新たな写真表現に情熱を燃やし、刺激しあった神奈川で開催される、史上初の二人展。見逃せない内容になりそうだ。

中平卓馬 『Adieu à X』より 1989 © Gen Nakahira Courtesy of Osiris
森山大道 Nへの手紙 2021 © Daido Moriyama Photo Foundation

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