ポール・ケアホルム PK 0 1952 成型合板(塗装) 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲
「織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」がパナソニック汐留美術館で6月29日~9月16日まで開催される。
もっとも身近な道具のひとつである椅子の造形は、座るための合理的な機能を追求したかたちでありながら、彫刻作品のような自律した美しさを宿している。とりわけ、前世紀の優れた建築家やデザイナーが手がけた椅子は、時代を超える名作として近年関心が高まっている。
ポール・ケアホルム(1929~1980)は、20世紀デンマークを代表する家具デザイナー。51歳で亡くなるまでの約30年間に生み出された家具デザインは、素材の特性をいかしたミニマリズムを極め、洗練された不朽の名作として高く評価されてきた。石や金属などの硬質な素材を取り合わせた厳格なデザインでありながら、各々の家具は決して冷たい印象を与えず、置かれる空間に心地よい緊張感をもたらす。古びることのない、ミニマルで清潔な造形に凝縮されたケアホルムの仕事は、国内の愛好家の間でも根強く支持され続けている。
本展は、長年にわたり椅子研究と収集を続けてきた織田憲嗣(東海大学名誉教授)のコレクションを中心に、ケアホルムの主要作品を網羅した日本の美術館で初めての展覧会。織田コレクションを有する北海道東川町の協力のもと、家具デザイナーとして活躍した約30年間に生み出した代表作品約50点と関連資料を紹介する。
展示は、パリを拠点に世界的に活躍する建築家の田根剛(ATTA)と協働して会場を構成。作品一つひとつの構造やディテールに焦点を当てるとともに、収集家である織田の視線を通して浮かび上がるケアホルムデザインの美に迫る。織田が語り伝える言葉やイラストもあわせて紹介し、来場者のケアホルム体験が深められるよう趣向を凝らす。会場では、実際にケアホルムデザインの椅子に座って体験できるコーナーも用意されている。