そのメディウムの特性上、焼きものは「土」ないし「大地」と密接に結びついている。改めて確認するまでもなく、「土」は焼きものにとって欠かすことのできないもっとも本質的な構成要素であり、それゆえに焼きものはしばしばそれ自体が「大地」の表象であるとすら見なされる。だが一方で陶芸は、そうした素材上の制約、および実用に耐えうる「もの」としての性格ゆえに、コンテンポラリー・アートとは無関係な存在であるかのように見なされることも少なくない。とはいえ、こうした考え方が陶芸というものに対する通俗的な見方を踏襲しているにすぎないということは言うまでもなく、実際、焼きものが陶土や鉱物から出来ているという本質的部分に着目したとき、それはわれわれが知るような「焼きもの」の枠を幾重にもはみ出していくだろう。
これらの陶芸作品以外にも、李禹煥、押江千衣子らの絵画やニルス・ウドの写真など、本展では「土」をテーマに多様な表現を目にすることができる。土、そして鉱物という陶芸の基底材が「生命」や「大地」といった主題への問いを開き、絵画を中心とするコレクションが新たな顔を覗かせる。通常、コンテンポラリー・アートの企画展で知られるオペラシティアートギャラリーにおいて今回のような展示を目にすることは、その意外性とも相俟って、極めて興味深い体験になるにちがいない。