本展覧会で注目すべきは、ドイツのアートシーンを銀行コレクションという形で、垣間見ることができるという点である。ドイツ人アーティスト以外にも、日本人や他国の芸術家の作品も展示されており、ドイツのアート受容の「今」に触れることができる。ドイツというと、「ドイツ写真の現在」や「ゲルハルト・リヒター」の展覧会からも分かるように、2mを超すような巨大な作品というイメージが強いように思われる。もちろん、この展覧会でもトーマス・ルフやアンドレアス・グルスキーなどの巨大な写真作品はある。しかし、それ以外にもトレーシングペーパーを用いた作品や影絵など、小さな作品も展示されており、大小様々な作品群を楽しむことができる。
そして、もう一つ注目すべきは、ザハ・ハディドによる展覧会会場のデザインと庭に設置したオブジェとの「交信」である。彼女のデザインは、主に床に波打つ「影」であるが、その影は1階から2階に上がり、そして再び地上の庭へと、鑑賞者を誘う。そして、その庭に出てみると、巨大なオブジェと小さなオブジェが空とともに視界に入ってくる。私達は「影」に誘われて、「光」の下に集まるのである。
その交信をあなたの眼で確かめてください。
Bunmei Shirabe
Bunmei Shirabe