アートに興味はあるけど、なかなか足が伸びない…。寒さに負けそうな冬のお休みの日にも、3時間でアートスペースを巡って楽しめるおでかけコースを提案します!
今回谷中・上野エリアを選んだのは、幼い頃や学生時代に訪れて感じたまちの魅力もあわせて伝えたいと思ったからです。気になるギャラリーのある谷中から上野にかけて、広めのエリアを移動するため自転車を活用することにしました。
■いざ出発 日暮里駅(A)
ここからスタート。
今回お世話になる自転車屋さんを目指します。
日暮里駅から徒歩6分ほどの谷中霊園を通ります。紅葉や桜の隠れスポットとして地元の人に知られています。
広い道でとても気持ちがいい!
■Tokyobike Gallery 谷中(B)
Tokyobikeは東京を走行するためにデザインされた自転車で、都会の中を走ることを目的としています。とてもおしゃれで、ペダルは軽く、走ると爽快感に包まれます。
そしてTokyobikeの店舗の中で唯一レンタサイクルのある谷中店、老舗酒屋の「伊勢五本店」で使われていた築80年の木造日本家屋をそのまま使用しています。経過した時間の長さを想像させる重厚感を感じますね。一方で店内は、最新のバイクが並んでいて、昔と今のコントラストが魅力的でした。ここで自転車を借りて、おでかけです!
*Tokyobike gallery 谷中
〒110-0001 東京都台東区谷中4-2-39
営業時間: 12:00〜18:00
レンタサイクル料金: 1日 1000円
レンタサイクル営業時間: 11:30〜17:30
定休日: 水曜日・木曜日 ※祝日は営業
■SCAI THE BATHHOUSE(スカイ・ザ・バスハウス)(C)
私がずっと行きたいと思っていたギャラリーです!
SCAI THE BATHHOUSEは、国内外のアーティストの作品を積極的に発信している現代美術ギャラリーです。創業200年の銭湯「柏湯」を改装して、作品を展示しているのが特徴的。銭湯の名残を残しつつ、現代アートの空間が広がっています。
ジュリアン・オピーは、人物や風景を最小限の点と線で描いた作品を発表しています。彼の作品は「省略の美」とも言われ、簡略化されている一方でモデルの個性はしっかりと描かれています。イギリスのロックバンド・ブラーのアルバムジャケットのデザインでご存知の方もいるかもしれません。
今回のオピーの個展は、ロンドンと東京の街頭で集めたイメージを、LEDやビニール、アクリルなどを商業的なメインストリートでみられるコンピュータグラフィックと組み合わせて作った作品展です。私が魅了されたのは、会場の入口と中央に展示されていた電光掲示板を用いた映像作品でした。オピーのデザインした人物が光り、右へ左へ歩いていきます。メディア・アート好きにとって、光る電光掲示板を使用していることにまず惹かれますが、人物の動きのなめらかさにまた惹かれました。制作の過程などを想像するとわくわくしました。
オピーの作品を見ていると、「Less is more (より少ないことは、より豊かなことだ).」という言葉を思い出します。ドイツ出身の建築家、ミース・ファン・デル・ローエが残した言葉です。彼の建築は、徹底的に簡素化・素朴化され、柱はおろか壁さえほとんどありません。しかし、完成された彼の作品は、むしろ複雑に、そして美しく見えるのです。ミースの言葉を思い出したのは、オピーの作品にも、そのパラドックス的な魅力を感じたからだと思いました。
*SCAI THE BATHHOUSE(スカイ・ザ・バスハウス)
〒110-0001 東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
開館時間: 12:00〜18:00
入場料: 無料
定休日: 月曜日・祝祭日
■道に迷って…根津神社(D)
次の目的地に着けず、道に迷って根津神社に辿り着きました。
約1900年前に創祀されたと伝えられる神社です。東京十社のひとつで、本殿など7棟が現存していることから、国の重要文化財に指定されています。お弁当を食べている人や子供が遊んでいたり、ゆっくりとした時間が流れています。
*根津神社
〒110-0031 東京都文京区根津1-28-9
■上野公園(E)
最後は上野公園エリアです。根津神社から自転車で10分ほどです。
上野公園周辺には、国立西洋美術館や東京国立博物館など、多くの美術館・博物館があります。今回は、国立科学博物館に行きました。
特別展「ヒカリ展 – 光のふしぎ、未知の輝きに迫る!- 」を開催中の国立科学博物館は、明治10年に設立された、日本で最も歴史のある博物館のひとつです。また、自然史および科学技術史研究に関する中核的研究機関として、重要な役割を果たしています。
この特別展は、「光の科学」「宇宙と光」「地球と光」「人と光」の4つのテーマごとに分類されています。光の性質や、自然界に存在する光、私達が普段使用している明かりとしての光を分かりやすく解説しています。
「光の科学」ゾーン
「地球と光」ゾーン
この他にも、「宇宙と光」ゾーンでは、太陽に関する研究や、望遠鏡による宇宙の観測データを観ることができます。「人と光」ゾーンでは、江戸時代に使用されていた明かりや、青色LEDといった現代の照明技術などを解説しています。どのゾーンも解説が豊富で分かりやすく、光る花やレーザー照射など視覚的にも楽しい展覧会でした。
展覧会の最後には、クリスマスツリーが飾られています。手前のフィルターを通して見ると飾りの色が変わり、とても綺麗でした。実はこの光っているツリーの飾り一つ一つが自然界にあるものなのですが、それが何だか分かりますか?蛍光タンパク質を作る遺伝子を組み込んだ染色体を持つ生物の“何か”です。その正体は、ぜひ展覧会に実際に行って確かめてみてください!
また、国立科学博物館ではこの他にも展覧会を開催しています。そちらもぜひ行ってみてください。
*国立科学博物館
〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
科学博物館に行った後は、同じエリア内の不忍池に行きました。
「妖怪大福」を購入。
*江戸うさぎ(F)
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里2-14-11
今回通ったルートはこちらです。
(A)日暮里駅
(B)Tokyobike gallery 谷中
(C)SCAI THE BATHHOUSE
(D)根津神社
(E)上野公園
(F)江戸うさぎ
全体の所要時間: 3時間
SCAI THE BATHHOUSEから根津神社までの道のりは坂道でした。恥ずかしながら日頃の運動不足が祟り、筋肉痛になってしまいました。それでも、根津神社に行けたのは良かったです。うったりとした空気を味わえました。
目的のアートスペースに行くだけでなく、その周辺のスポットに訪れてみるのも良いと思います。何か出会いや発見があるかもしれません。一人でも、友達とでも、ぜひ巡ってみてください。
[TABインターン] 海沼響: 伊豆出身。地元の変わった美術館を巡り、アートの対象の広さに関心を抱く。現在は、現代美術を中心にわくわくする展覧会へ足を運ぶ。好物はもふもふするもの。