2009年の解散から15年が経ち、待望の再結成が決まったイギリスの大人気バンド・オアシス。東京都神保町・New Galleryでは、記録写真とコラージュアートでオアシスの足跡を追う企画展「Oasis Origin + Reconstruction」を開催中。会期は10月31日〜12月8日(11月25日休廊)。
同展は、フォトグラファーのJill Furmanovsky(ジル・ファーマノフスキー)が1994年から2009年にかけてオアシスを撮影したドキュメンタリー写真と、アーティストの河村康輔が大胆に再構築した写真やロゴ、アルバムジャケットのコラージュ作品で構成される。
フォトグラファーのジルは、ポール・マッカートニーやボブ・ディラン、イギー・ポップなど数々の著名アーティストを撮影してきた、20世紀後半のロック音楽史の生き字引ともいえる人物。なかでもバンドのメジャーデビューから解散までの15年を記録してきたオアシスのドキュメンタリー写真は、ジルの最高傑作と位置付けられている。彼女がバンドのファンとして、またはメンバーの友人として、そしてジャーナリストとしてファインダーに収めた、オアシスの多彩な表情をここではセレクトした。
河村は『大友克洋GENGA展』のメインビジュアルや『AKIRA』を使用したコラージュ作品の制作、ユニクロUTのクリエイティヴ・ディレクター就任など、国内外で活躍するアーティスト。河村の代表的な手法である、シュレッダーでカットした素材を手作業で貼り合わせるコラージュは、イメージや時間が裁断されながら統一される独特の存在感を放つ。高校時代にオアシスに熱中した河村は、「(公式ロゴや写真を)触っていられるだけでも嬉しいが、今回は自身の作家性に引きつけるよう心がけた」という。
両作家のコラボレーションとして制作されたのは、ノエルとリアムのギャラガー兄弟のポートレートを用いたコラージュ作品。兄弟の目が重なってふたりの顔がぼやりと浮かんでくる本作は、仲違いを繰り返しながらも鋭い才気を衝突させてきたバンドの像を立体的に示すような構図になっている。
ジルの撮影当時の回想によれば、コラージュされる前のポートレイトは「兄弟で見つめ合わせ、それぞれに撮った写真だった」。じつは河村は、そんな背景を知らずにシュレッドし、美的観点からふたりの目が交差するよう張り合わせたという。偶然とはいえ、オアシスを架け橋にふたりの作家が深いところで交わった結果の作品だと言えるだろう。
さらに会場では両作家が出演するここでしか見られないドキュメンタリー映像を上映する。ジルとノエルが仲睦まじくバンドの過去を語る映像はファン必見。また、河村のスタジオにて制作の一端を覗くことのできる貴重な映像も。
ジルによる写真作品及び、河村康輔によるコラージュ作品・シルクスクリーン作品に加え、「Oasis Origin + Reconstruction」限定のOasis × Jill Furmanovsky × 河村康輔 オリジナルグッズも同展にて販売中。
ここでしか見られない、オアシスのこれまでとこれから。日英の作家が展開する、バンドの重厚な歴史の重なり合いをご覧あれ。