公開日:2010年1月15日

「No Man’s Land」展

70名を超えるアーティストと解体される旧フランス大使館の建築物が作る、展覧会

広尾にあるフランス大使館の解体に伴い、建物全体を使った展覧会が開催されています。作品の数の多さや多様性もさることながら、普段はなかなか入る機会がない大使館(特にセキュリティーが厳しい部屋への動線は見ごたえがあり必見)という建築物のディテールを見るのも面白いこの展覧会。一日では周りきれません!
本当に少しだけですがざっくりと、フォトレポートいきます!

小松宏誠&石渡愛子
小松宏誠&石渡愛子
鳥の死骸から羽の花が美しく咲いていました。ひっそりとしています。庭では羽が踊っています。ダンスは動きなので、写真ではうつせません。

みかんぐみ《Re´nocabi》
みかんぐみ《Re´nocabi》
フランス大使館で実際に使われていたキャビネット類をリユース・リサイクルして販売するプロジェクト。ウェブ(http://mikan.co.jp/)で制作過程が見られるそうです。価格は加工実費のみというお得な作品!

リュスィーユ・レイボズ&藤原仁美
リュスィーユ・レイボズ&藤原仁美
フランス人写真家のリュスィーユ・レイボズが、ボンデージ・アーティスト(ボーイスカウトじゃないのに、ロープ使い上手い)の藤原仁美に依頼して庭に桜の木を縛ってもらっています。部屋にはその写真など。椅子に座ってゆっくりと眺められます。

ジェフ・アエロソル
ジェフ・アエロソル
解体するので現状復帰しなくてよい! ということで、壁面へのペイントがいたる所に施されています。どすこい!

コントラパントル

カフェスペースの用意も
カフェスペースの用意も
家具も壁もぜーんぶ作品という贅沢なつくり。たのしい雰囲気です。ぜーんぶ見終わった後にここで寛ぎたかった…ウェイターさんも笑顔が素敵な人でした。

セキュリティシステムの名残り
セキュリティシステムの名残り
軍事関係の書類などを扱っていた部屋に行くまでには、このようなダイヤルが壁にあって、その先のドアにも柵が取り付けられたりしています。このアナログ感、たまりません。

菅木志雄《連壊-風景》
菅木志雄《連壊-風景》
もの派を代表する一人。小山登美雄ギャラリーからの出展ですが、本当に沢山の方向性を持ったアーティストが今回の展覧会に参加しています。

花代《wooden veil》
花代《wooden veil》
「脳みそが溶けちゃって…おネギが眼にしみるぅ」とかそんな感じの歌を歌っていた頃からスキだった花代さん。ギャラリー小柳からの出展。日本の有名なコマーシャルギャラリーからも沢山のアーティストが出品しています。

plaplax《para para sight》
plaplax《para para sight》
天井からぶら下がってる植物のようなオブジェの先端の光に触れると、影絵のような映像が現れる作品。見終わって出てくると、スタッフ(?)のフランス人女性に呼び止められ、この作品みて! 素敵よ。と力説されました。他のお客さんにも力説しておりました。

保科晶子
保科晶子
フランス大使館の土を混ぜたという粘土で部屋を覆っています。動きませんよ。動かないけど、今にも動き出しそうなクレイ・アニメーションを見ているようです。

クロード・レヴィック《鼻血》
クロード・レヴィック《鼻血》
越後妻有で出会った林少年が書いた文字をネオン管に再現したそうです。何かコンセプトやテキストがあるのでしょうが、そういった類のことは聞かないまま楽しみたい作品です。

と、そんなこんなで会場には3時間以上いました。全部の作品は見られませんでしたが、日が落ちる時間の空の美しさに気を取られたりしながらも、楽しい展覧会でした。

会期中には、トークショーやその他のイベントが予定されていますので、イベント情報をチェックしてぜひ皆さんもお出かけください!では。

yumisong

ふにゃこふにゃお。現代芸術家、ディレクター、ライター。 自分が育った地域へ影響を返すパフォーマンス《うまれっぱなし!》から活動を開始し、2004年頃からは表現形式をインスタレーションへと変えていく。 インスタレーションとしては、誰にでもどこにでも起こる抽象的な物語として父と自身の記憶を交差させたインスタレーション《It Can’t Happen Here》(2013,ユミソン展,中京大学アートギャラリーC・スクエア,愛知県)や、人々の記憶のズレを追った街中を使ったバスツアー《哲学者の部屋》(2011,中之条ビエンナーレ,群馬県)、思い出をきっかけに物質から立ち現れる「存在」を扱ったお茶会《かみさまをつくる》(2012,信楽アクト,滋賀県)などがある。 企画としては、英国領北アイルランドにて《When The Wind Blows 風が吹くとき》展の共同キュレータ、福島県福島市にて《土湯アラフドアートアニュアル2013》《アラフドアートアニュアル2014》の総合ディレクタ、東海道の宿場町を中心とした《富士の山ビエンナーレ2014》キュレータ、宮城県栗駒市に位置する《風の沢ミュージアム》のディレクタ等を務める。 → <a href="http://yumisong.net">http://yumisong.net</a>