公開日:2012年8月2日

日本民藝館新館長にデザイナー深澤直人が就任

【Art Beat News】デザインと民藝に通じる「美」のあり方とは

1936年、「民藝」という美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠地として東京・駒場に開館した日本民藝館。この7月、日本民藝館の5代目の館長に、デザイナーの深澤直人が就任した。

創設者・柳宗悦にはじまり、濱田庄司、柳宗理、小林陽太郎に続く5代目の館長

昨年末、柳宗理の逝去により新たに館長候補を探した結果、本館理事長・岡崎真雄と親しい三宅一生の強い推薦により深澤の名前が挙がった。元より柳宗悦の思想に強く影響を受けていた彼は、柳の言葉によく登場する「正常の美」や「健全な美」などの言葉に共鳴し、「人のために美しいものをつくる」という意義において、「デザイン」と「民藝」は同義のものではないかと語っている。

大衆に存在する美に目を向けた民藝と同様、人間の生活や道具の中に存在する美を抽出するのがデザインであると定義する深澤。その意から、デザイナーの同志ジャスパー・モリソンと共に展開した『Super Normal』の展示活動などは、柳宗悦、濱田庄司、河井寛次郎らを中心に繰り広げられた民藝運動の時代と変わらぬものであるだろうと語る。

質の高いものづくりを生み出し続ける日本において、この日本民藝館が改めて「美」の意義を提示する役割を担う場所となっていくことに期待したい。

■関連 日本民藝館ウェブサイト

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