公開日:2024年2月17日

長野県立美術館の新館長に笠原美智子(現アーティゾン美術館副館長)。国内主要館に女性館長の就任続く

2020年にリニューアルオープンした長野県立美術館の館長に

笠原美智子

長野県立美術館の新館長にアーティゾン美術館副館長の笠原美智子が4月1日付で就任する。長野県が2月15日に発表した。2020年のリニューアルオープンから館長を務める松本透は3月末日をもって退任する。

笠原は長野県茅野市生まれ。明治学院大学社会学部社会学科卒業後、シカゴ・コロンビア・カレッジ大学院修士課程(写真専攻)修了。東京都写真美術館東京都現代美術館の学芸員を務め、日本で初めてのフェミニズムの視点からの企画展「私という未知へ向かって 現代女性セルフ・ポートレイト」展(1991)をはじめ、ジェンダーの視点からの展覧会を多数企画してきた。2005年には、第51回ヴェネチア・ビエンナーレ美術展日本館コミッショナーとして「石内都:マザーズ 2000-2005 未来の刻印」展を開催。2018年に東京・京橋のアーティゾン美術館副館長に就任した。

長野県立美術館

その他のおもな展覧会に「ジェンダー 記憶の淵から」(1996)、「ラヴズ・ボディ ヌード写真の近現代」(1998)、「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」(2010)、「ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館」展(2017)など。おもな著作に『ジェンダー写真論 増補版』(里山社、2022)、『ジェンダー写真論 1991 – 2017』(里山社、2017)、『写真、時代に抗するもの』(青弓社、2002)『ヌードのポリティクス 女性写真家の仕事』(筑摩書房、1998)がある。

国内の国公立美術館では近年、逢坂恵理子(国立新美術館)、蔵屋美香(横浜美術館)、妹島和世(東京都庭園美術館)、長谷川祐子(金沢21世紀美術館)、林洋子(兵庫県立美術館)ら女性館長の就任が相次いでいる。性差による待遇や昇進の不均衡が指摘されてきた日本の美術館行政。ジェンダーバランス是正のさらなる動きにも期待したい。

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