東京・六本木にある国立新美術館が2025年度の展覧会スケジュールを発表した。詳細が公開されたのはふたつの展覧会。
まずは、20世紀に始まった住宅をめぐる革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考する「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s‒1970s」。会期は2025年3月19日〜6月30日。
1920年代以降 、ル・コルビュジエ(1887〜1965)やミース・ファン・デル・ローエ(1886〜1969)といった多くの建築家が、時代とともに普及した新たな技術を用いて、機能的で快適な住まいを探求した。その実験的なヴィジョンと革新的なアイデアは、やがて日常へと波及し、人々の暮らしを大きく変容させた。本展は、当代の暮らしを根本から問い直し、快適性や機能性、そして芸術性の向上を目指した建築家たちが設計した、戸建ての住宅を紹介。
とくに力を入れて紹介する傑作15邸を中心に、20世紀の住まいの実験を、写真や図面、スケッチ、模型、家具、テキスタイル、食器、雑誌やグラフィック、映像などを通じて多角的に検証する。
香港の現代美術館M+(エムプラス)との初めての共同企画により、「日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)」を開催する。会期は2025年9月3日~12月8日。
国や地域の枠組みを超えて、国際交流を重ねながら変化してきた日本の現代美術の軌跡をたどる本展が焦点を当てるのは、1989年から2010年までの約20年間。この時期を象徴する作品と、諸地域で醸成されたアートプロジェクトというふたつの軸が絡みあうように構成され、国内外で活躍してきた日本人アーティストとともに海外のアーティストも取り上げる。
変化に満ちたこの時代に、日本の現代美術がいかに歴史的遺産やアイデンティティの多様性といった主題に取り組んできたか、いかに新しいコミュニティの可能性を模索してきたかを紹介。また、グローバル化が進み始めて最初の20年にあたるこの時期に、日本の美術と視覚文化が世界に与えた影響を考察する。
なお、2025年秋にはもうひとつの企画展が開催。こちらの開催情報は追って情報公開されるという。