国立新美術館が2024年の企画展、プログラム予定を発表した。
まず、2月14日から5月27日にかけては、「マティス 自由なフォルム」が開催。ニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイル等の作品や資料、約150点を紹介する本展。切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌード IV》が出品されるほか、大作《花と果実》は本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開される。
美術館の自主企画展として、3月6日〜6月3日にはグループ展「遠距離現在 Universal / Remote」が行われる。現代社会の諸相に向き合い、「Pan- の規模で拡大し続ける社会」、「リモート化する個人」を軸に今世紀の社会の在り方に取り組んだ8名と1組の作品を紹介する本展には、井田大介、徐冰(シュ・ビン)、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ+ヒト・シュタイエル+ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子が参加。
7月3日〜9月23日には、幅広いマンガジャンルにおいて多様な作品を世に送り出してきた女性4人の創作集団「CLAMP」による活動の軌跡をたどる原画展を開催。「CLAMP」がこれまでの作品を通して年齢・性別・国を超えて読者たちを魅了し、届けてきたメッセージをいま、改めてひもとく大規模な展覧会はファン必見と言えそうだ。
8月7日〜11月11日には、日本人アーティスト、田名網敬一の世界初となる大規模回顧展「田名網敬一 RETROSPECTIVE(仮)」を開催。半世紀以上に渡る創作活動を紐解くキーワードとなる「記憶」をたどりその全貌に迫る本展では、立体作品、アニメーションに加え、60年代後半から70年代初めにかけて制作された貴重なグラフィックザインやイラストレーション、80年代にかけて制作された極彩色の木彫シリーズのほか、近年スタジオで発見された最初期のポップアート作品も展示される。
美術館の自主企画展として、10月下旬から12月中旬には「絵のアティテューズ──荒川ナッシュ医(仮)」も予定されている。様々なアーティストと共同作業を続ける荒川ナッシュ医(Ei Arakawa-Nash)は、「私」という主体を再定義し、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現してきた。本展は、2000年代以降に主にニューヨークで様々な画家が描いた絵画と、荒川ナッシュによる展覧会。ストロークはシナリオに、キャンバスは役者に、色彩は音楽へと変容し、コンセプチュアルかつ祝祭的なパフォーマンスによって、鑑賞者は絵画との新しい関係を育むというものだ。
なお、1月24日から6月10日にかけては1977年広島に生まれ、現在はドイツのベルリンで活動する彫刻家・和田礼治郎の小企画「NACT View 04 和田礼治郎:FORBIDDEN FRUIT」が開催される。
こうした展覧会に加え、講演会やワークショップ、建築ツアーや13歳から18歳までを対象としたユースプロジェクト、障がいのある方のためのプログラム、学校プログラムなども随時行われる。
スケジュールのプレスリリースでは、国立新美術館長の逢坂恵理子が以下のようなコメントを発表。今年も美術館の活動に期待したい。
対立や戦争を回避できない日々、私たちは想像力を鍛え、異なる価値観に向き合いながら他者や自然との共生に、より自覚的であるべきではないでしょうか。国立新美術館は、多様な展覧会や教育プログラムを通して、人々の共感や気づきを引きだし、共生を模索し推進する場としての活動を継続してまいります。