東京都現代美術館 Photo: Kenta Hasegawa
現代美術を中心に、幅広いテーマやジャンルの展覧会を行なっている東京都現代美術館で、2025年度に開催される展覧会のラインアップが発表された。
東京都現代美術館では、パフォーマンスや上映といった、従来の展覧会の形式にとどまらない実験的なプロジェクトを展開する場として、新たに「MOT Plusプロジェクト」をスタートさせる。「コレスポンデンス」は、音響アート集団の「サウンドウォーク・コレクティヴ」と、詩人でアーティストであるパティ・スミスとのコラボレーション。世界の様々な場所で採取された音と映像、スミスによる書き下ろしの詩が交差することで、時間や場所を超えた対話が生まれるオーディオヴィジュアル・インスタレーションが紹介される。
ビデオアートに特化した非営利組織として、2009年にバルセロナにて設立されたハン・ネフケンス財団。世界各地の美術組織と連携してアーティストの制作支援を行っており、東京都現代美術館では2023年から連携事業を実施している。本展では、「MOT Plusプロジェクト」の一環として、ハン・ネフケンス財団、東京都現代美術館、そのほか5つの美術館などで2023年に設立された「南アジア・ビデオアート制作助成」の受賞者である、パキスタンを拠点に活動するアーティスト、シャハナ・ラジャニの新作を紹介する。
1955年東京生まれの岡﨑乾二郎は、日本を代表する造形作家であるとともに、建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発などの幅広い表現領域を手がけ、さらには文化全般にわたる批評家としても活躍してきた。本展はそんな作家の核心に迫る、東京での初の大規模な展覧会。近年国際的な評価も高まる岡﨑が大きく転回した2021年以降の新作を中心に、過去の代表作も網羅しながら、世界認識の方法としての造形の可能性と力を提示する。
東京都現代美術館が持つ幅広い収蔵作品から、様々なテーマによる展示を行い、コレクションの新たな魅力を伝える「MOTコレクション」。今年度は、美術館の開館30周年を記念し、複数の視点から現代美術の流れを見直す特別展示を行う。
1995年の開館から30周年を記念する本事業では、より多様化するこれからの社会と人々にとって美術館がどのような場であるのかを展望するプラットフォームとして、国内外の作家による大型展示を軸に多彩な取り組みを展開する。展覧会では、ある場所や空間がどのような力学で形作られ、変容するのか、それはどのように人々の生き方に影響するのかを、幅広い視点から探求する作品を紹介するという。会期中は若手アーティストらによるパフォーマンスやワークショップ、ツアーなども行う予定。
ニューヨークを拠点に、パフォーマンス、ダンス、インスタレーション、映像など、メディアを横断した作品を手がける作品を手がける笹本晃。自ら設計・構成した彫刻や装置をインスタレーション空間に配置し、それらをスコアのように用いて即興的なパフォーマンスを展開する作品で知られる作家にとって、自身初となるミッドキャリアを回顧する個展となる。初期の代表作から、キネティックな要素が強まる最新作まで、約20年にわたって造形とパフォーマンスの関係を探究し、独自の実践を重ねてきた異才とその作品を動的に検証する。
独創的なアートブックやZINEを制作する国内外の出版社、ギャラリー、アーティストらが集う「TOKYO ART BOOK FAIR」。ひとつの国や地域に焦点を当て、出版文化を紹介する「ゲストカントリー」企画をはじめ、老舗から新進気鋭の出版社まで、多様なアーティスト・デザイナーを展示やトークイベントを通して紹介する。
海外での活動に意欲がある中堅アーティストを対象に、東京都とトーキョーアーツアンドスペースが2018年から実施している現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award」。本展では、第5回の受賞者である梅田哲也と呉夏枝が受賞を経て制作した新作を中心に展示する。
2014年に東京都現代美術館で開催された「ミッション[宇宙×芸術]」展から10年を経て、2025年の「国際量子科学技術年」にあわせて、量子の世界を含む「宇宙と芸術」の企画展を開催する。科学者による宇宙研究や、アーティストによる宇宙をテーマとした作品に加え、量子コンピュータによる世界初のアート作品など、多次元的な「時と空間」が不思議なふるまいを見せる「量子」領域に取り組む表現を紹介する。