1万3000点を超える充実のコレクションで知られる東京国立近代美術館。3月18日〜5月8日に開催される今期の「MOMATコレクション」展では、新収蔵したピエール・ボナール《プロヴァンス風景》(1932)が特別展示される。
ピエール・ボナール(1867-1947)はフランスの画家。19世紀後半はパリで活動した芸術家集団「ナビ派」に属しており、日本絵画へも強い関心を持っていた。20世紀に入ると、前衛の運動には参加せず、個人での制作を続ける。新収蔵の《プロヴァンス風景》(1932)は、そんなキャリア後期を象徴する作品だ。黄色や紫を好んだというボナールの独特な色彩感覚や抽象度の高さが際立つ、多様な筆致ときらめくような画面が特徴だ。
ボナールの残した「絵画、すなわち視神経の冒険」という言葉の真意を感じ取れるであろう同作は、ぜひ会場で見てみたい。
同時開催される「白い漫画、黒い漫画」は、戦後日本の絵画とマンガとの関係に焦点が当てられる小特集。
戦後、社会や人間をダークかつ滑稽に描いた作品が増えたことで、マンガと急激に接近した絵画。「黒い漫画」とは、そんな一連の作品を瀧口修造が指した言葉だ。
本展では、岡本太郎や間所紗織などの50年代から70年代までの戯画的な美術作品と、久里洋二や真鍋博らの同時代のマンガ冊子、計50点以上の作品・資料が展示される。