大阪・中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館(MOCO=モコ)が、約2年間の改装工事を経て、装い新たにリニューアルオープン。その記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」が、4月12日から開催される。タイトルの「シン」には、「新」たなミュージアムへと歩み始めること、「真」の美しさとの出会い、「心」がワクワクする鑑賞体験を、という3つの願いが込められている。
主な出展作品には、MOCOが世界に誇る「安宅コレクション」の2大国宝が登場。「油滴天目茶碗」は、宋時代に流行した喫茶用の黒釉茶碗の最高級品で、日本では「油滴」の名で知られ、室町時代以来高く評価されてきた作品だ。いっぽう「飛青磁花生」は、江戸時代の大坂の豪商・鴻池家に伝来し「飛青磁」の名で愛玩された、色形柄とまさに「完璧」な作品だ。
ほかにも、李秉昌(イ・ビョンチャン)博士の寄贈による「李秉昌コレクション」を中心としたMOCO所蔵の珠玉の東洋陶磁コレクションなど約380件(国宝2件、重要文化財13件含む)が、装い新たに展示される。
もちろん、改修工事を経て生まれ変わった展示空間にも注目したい。
人々に開かれた美術館でありたいという開館以来の願いを反映し、ガラス張りの開放的なつくりとなった新設エントランスホールや自然光の下で作品を鑑賞できる世界初の自然採光展示室、高精細3DCGで再現した国宝「油滴天目茶碗」を360度好きな角度から鑑賞できる体験型デジタルコンテンツなど、古陶磁の魅力を再発見できるような仕組みが盛りだくさんだ。
MOCOの原点であり続ける、珠玉のコレクションの新たな魅力と価値に出会える、「シン・東洋陶磁」をぜひ体感したい。