公開日:2011年12月7日

メタボリズム・ファッション!

メタボリズム建築をテーマにしたファッションで、森美術館をジャック!

「面白そう!」「衝撃的!」「気になる!」と、Twitterでの告知後にも話題となったTokyo Art Beat が主催したイベント「メタボリズム・ファッション!」の様子をフォトレポートでお伝えします。森美術館『メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン』へ、オリジナルのコスチュームで行ってきました。

「展覧会のコンセプトに合わせた服で、美術館に行こう!」という、TAB発の新しい展覧会の楽しみ方。自分たちで「ドレスコード」を作って、大勢で同じテーマの服装に身を包んで出かけてみませんか。「メタボリズム建築をイメージした服装って、何を着ればいいのかしら?」とスタッフ自身もあれこれ悩みながら迎えた当日でしたが、参加者の皆さんも、とても工夫した格好で来てくれました。さあ、特別な一日が始まります!

※ 本企画は美術館のご協力を得て、許可の下、撮影を実施しています。
「ドレスコード」とは本企画においてTABスタッフが考案、新しい展覧会の楽しみ方として提案するものです。

今回訪れた森美術館『メタボリズムの未来都市展』は、1960年代に展開された日本で始まった建築の前衛運動「メタボリズム」を、世界で初めて総合的に紹介する展覧会です。丹下健三に影響を受けた黒川紀章、菊竹清訓、槙文彦といった建築家たちが描いた未来都市のイメージ。それは、メタボリズムという言葉が「新陳代謝」を意味する通り、環境の変化に適応し次々と姿を変えながら増殖して行く都市のイメージでした。展覧会では、戦後復興期に日本の未来を描き、都市のあり方を提案するひとつの思想として展開された「メタボリズム」が、充実した資料をもとに紹介されています。

当日は森美術館のエントランス、ミュージアムコーンで集合。さっそく周囲を通りかかる人々からも、「今日は何があるの?」「仮装ですか?」と、次々と声をかけられました。

何やらあやしい出で立ちのTABスタッフのもとに、続々と集まる参加者たち。

メタボリズム建築をイメージした手作りのかわいいネックレスをおそろいで。

小物でメタボリズムを表現した人も。実物のコンクリートをぶら下げてくる方がいるとは予想外!

素敵なコスチュームに身を包んで、全員準備は万端です。いつの間にか和気あいあいとしたムードになったところで、早速「メタボリズム・ファッション!」の一行は展示室へ。

エントランスを入りすぐの第1展示室。それぞれのコスチュームにも注目。

手作りコスチュームの素材は段ボール、紙、ヨーグルトパックなどなど。

写真手前は、丹下健三による「広島ピースセンター」の1/100模型。広島復興を祈り建設された初期の代表作品です。後ろに見えるのは、磯崎新による《ふたたび廃墟になった広島》。戦後復興に向かって始まったメタボリズム運動を象徴する展示です。

数々の模型が展示されています。身をかがめてのぞきこむ参加者

黒川紀章による「中銀カプセルタワービル」はメタボリズムの代表作として知られ、独立した部屋が連なる独特の外観をした建物です。住宅カプセルと呼ばれる部屋は、それぞれ交換可能な設計となっており、新陳代謝を意味するメタボリズムの思想がダイレクトに表現されています。

そんな「中銀カプセルタワービル」の住宅カプセルをコスチュームで表現した2人は、展示室でも注目度ナンバーワン!
ご本人たちからは、「視界が狭い分、外界がシャットアウトされてとても集中して展示が見られます」とのコメントが。そのうちのおひとりはデザインを勉強されているそうで、模型を見ながら丹念にメモをとっていらっしゃいました。

展示空間を「メタボリズム・ファッション」に身を包んだ参加者が歩く様子は、まわりから注目の的。参加者の皆さんはもちろん、まわりの来場者の方々にもとても楽しんでいただけたようです。もちろん、展覧会も満喫。実現した建築物はもちろん、構想にとどまったものも含め、様々な資料をもとにメタボリズムの思想を伝える、充実した内容です。
展覧会を見た後には、六本木ヒルズの敷地内に展示されている住宅カプセルで記念写真をパチリ。

ベストドレッサー賞は、どちらも「中銀カプセルタワービル」から着想したコスチュームの二組に決定。タワービルを再現したパークさん・サヤさんのペアと、「住宅カプセル」をかぶって来てくれたまぐさん・さなみさんのペアには、賞品として、今回の展覧会の図録が贈られました。

Q. コスチュームのポイントは?
息が苦しくならないように、窓は開くようにつくりました。空気穴もあけてあります!

Q. 仮装して展覧会を見るのはどうでしたか?
なんか人の目が気持ちよかったです! 楽しかった!!

Q. 展示で一番気に入ったところは?
模型がたくさんあったのが良かったです。「都城市民会館」の模型が気に入りました。実際に描かれた製図がとてもきれいで、すごく勉強になりました。

左:さなみさん、右:まぐさん。ワンピースとのトータルコーディネートも素敵!

Q. コスチュームのポイントは?
パークは牛乳パックを使ったので、とても大きな帽子になりました! 材料費はタダです。「中銀」の文字も紙を切り抜いて作りました。

Q. 展示で一番気に入ったところは?
模型が多くて良かったです。それからエキスポ(大阪万博)の展示!

Q. またこういうイベントがあったら参加したいですか?
はい!

左:サインズ・サヤさん、右:ベイカー・パークさん。ディテールまでこだわった作り!


「展覧会に合わせたドレスコードで、美術館に行こう!」
今回、初めて参加者を募集して開催しましたが、とても刺激的で、楽しくて、ハロウィーンの季節にぴったりのイベントになりました。展覧会に合わせたコスチュームは、予想以上に私たちを楽しい気分に盛り上げてくれます。読者の皆さんも展覧会に行くとき、展覧会テーマを意識した服装や小物を身につけてみてはいかがでしょう?

※通常、アタッシュケースや展示を傷つけるおそれのあるものの展示室への持ち込みは禁止されています。今回は事前申請のもと、特別に許可をいただいています。

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chiquichika

chiquichika

ブラジル生まれのスペイン育ち、帰国後から東京在住のアートファン。2010年より5年間、Tokyo Art Beatのスタッフとして勤務。現在は、2歳になる娘とどんぐり拾いやアートめぐりを楽しんでいる。