1972年に出版された写真集『包』(毎日新聞社刊)の著者であり、国内の伝統的なパッケージの収集と研究を通じて日本の技術や美意識の啓蒙に努めたデザイナー、岡秀行。目黒区美術館に収蔵された岡の「伝統パッケージ」コレクションが10年ぶりに公開される。
こうした特徴からもわかるように、「伝統パッケージ」には見た目や形の美しさだけでなく、「包むこと」自体に重要な意味づけをしてきた日本人の美意識や、「いかに美しく包むか」という職人や作り手のプライドと手わざの美が宿っており、岡の眼差しが「かたち」の奥にひそむ日本人の「心」へと注がれていたことが見出せる。
岡は「包むことについて考えるのは、人間の生活のすべてについて考えることに他ならない」という言葉を残している。伝統パッケージは、現代を生きる私たちにとっても今の生活を見直すきっかけとなりうるだろう。
■「包む―日本の伝統パッケージ」
会期:2021年7月13日〜2021年9月5日
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般 800円、大学生・高校生・65歳以上 600円、中学生以下・障害者手帳提示と付き添い1名 無料
会場:目黒区美術館
ウェブサイト:https://mmat.jp/index.html