公開日:2022年6月28日

50周年を迎えた「丸の内ストリートギャラリー」。⾈越桂、中⾕ミチコ、H&P.シャギャーン、名和晃平、松尾⾼弘の新作彫刻が登場

人気作家の彫刻が一堂に。展示エリアは全長1.2キロメートル

舟越桂 私は街を飛ぶ 2022 ブロンズに塗料

東京・丸の内仲通りを中心に、近代彫刻や現代アーティストの作品を展⽰するプロジェクト「丸の内ストリートギャラリー」。三菱地所株式会社と公益財団法⼈彫刻の森芸術⽂化財団が協働して1972年に始まり、今年50周年を迎えた同プロジェクトに4年ぶりに新作が加わることとなった。⾈越桂中⾕ミチコH&P.シャギャーン名和晃平松尾⾼弘による新作が5点。プロジェクトのウェブサイトでは、5人のインタビュー映像も公開されている。

舟越桂 私は街を飛ぶ 2022 ブロンズに塗料
⾈越桂

⾈越桂の私は街を飛ぶ》は、作家初となる着彩されたブロンズ彫刻。作品が設置される場所の太陽の動きまでも考慮し着彩された人物像は、街の喧騒と静けさに寄り添いながら、通る人々に「記憶」や「想い」を語りかける。

中谷ミチコ 小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥 2022 ブロンズに塗料
中谷ミチコ

中谷ミチコの《小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥》に彫られた魚の泳ぐ水をスカートで大事そうに運ぶ女性は妊婦。物質とそれが作り出す凹凸を手探りしながら制作をすることは中谷にとって重要なプロセスであり、作品内で生じている無数の反転が、見る人の身体を取り込みながら、作品と一人ひとりのあいだに結ばれる関係を「唯一のもの」とする場所にしたいと考えて制作したという。

H&P.シャギャーン Matching Thoughts 2022 ブロンズに塗料

アンリ・シャギャーンとピエール・シャギャーンによるアートユニットであるH&P.シャギャーンは、2004年にウィーンで制作した2枚の絵をもとに本作を制作したという。現代アートとしてはマテリアルも古く、革新的な造形ではないが、ディテールやそのなかに潜むエスプリに、2人が持っている近代彫刻へのリスペクトが込められているとか。

松尾高弘 Prism “Dahlia+Peony” 2022 プリズム光学樹脂、アクリル、スチール
松尾高弘 Prism “Dahlia+Peony”(部分) 2022 プリズム光学樹脂、アクリル、スチール
松尾高弘

繊細な光の表現とエモーショナルな作品群で、パブリックアートやラグジュアリーブランドのアートワークなどを手がける松尾高弘は、大手町ビルのエントランス左右2か所に花を模した光輝くインスタレーションを設置。群生するように咲くプリズムのフラワーが都市と溶けあいながらも、鮮やかな輝きを放ち続けるタイムレスな作品だ。

名和晃平 Trans - Double Yana(Mirror) 2012 アルミニウム

名和晃平は、2012年から続く彫刻作品シリーズ「Trans」の新作を展示。会見時にはまだ制作途中とのことで、実物を見られるのが楽しみ。このほかにも、新たに彫刻の森芸術文化財団の所蔵作品が展示に加わるなど、丸の内に新鮮な風景が生まれつつある。都市でアートに触れる楽しみがまたひとつ増えた。

イゴール・ミトライ 眠れる頭像 1983 大理石
ティモ・ソリン 日光浴をする女 1995 ステンレス・スティールに塗料
レナーテ・ホフライト 凹凸のブロンズ 1989 ブロンズ

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。