森美術館で「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」が、9月25日~1月19日にかけて開催される。
20世紀を代表するもっとも重要なアーティストのひとりであるルイーズ・ブルジョワ。98歳で他界するまで制作を続けた彼女は、幼少期に経験した複雑でトラウマ的な出来事をインスピレーションの源に、記憶や感情を呼び起こすことで普遍的なモチーフへと昇華させ、希望と恐怖、不安と安らぎ、罪悪感と償い、緊張と解放といった相反する感情や心理状態をインスタレーション、彫刻、ドローイング、絵画で表現した。
本展は、様々なアーティストに多大な影響を与え、世界の主要美術館で展示され続けるルイーズ・ブルジョワの日本で27年ぶり、国内最大規模の個展。約100点に及ぶ作品群を紹介し、活動の全貌に迫る。
展示は創造の源であった家族との関係をもとにした3つの章で構成。第1章「私を見捨てないで」では母との関係、第2章「地獄から帰ってきたところ」では父との確執、第3章「青空の修復」では、家族の関係性の修復と心の解放がテーマとなっている。
各章をつなぐ小スペースでは、初期作品を年代順に紹介。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)やベルヴェデーレ美術館(ウィーン)で展示され、近年世界的に関心が高まる初期絵画作品群も展示される。
本展の副題「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」はハンカチに刺繍で言葉を綴った晩年の作品からの引用。感情のゆらぎや両義性を暗示しつつ、ブラックユーモアのセンスを感じさせ、生きることへの強い意志を表現する作品群は、私たちが直面する、時に「地獄」のような苦しみを克服するヒントを与えてくれる。