公開日:2021年3月25日

「LOUIS VUITTON &」の見どころガイド:豪華絢爛なコラボレーションの旅へようこそ!

豪華絢爛なコラボレーションの旅。原宿で開催中のLOUIS VUITTON &をレポート

クリエイティブな交流やアーティスティックなコラボレーションを重ねてきたルイ・ヴィトン。その約160年におよぶ歴史を振り返る展覧会「LOUIS VUITTON &」が、表参道のjingで5月16日まで開催中だ。

会場のjing。©LOUIS VUITTON / DAICI ANO

創業約160年を誇る、言わずと知れた名メゾンのルイ・ヴィトン。その歴史に敬意を払い、ときに戯れるように数多くのアーティストやクリエイターがコラボレーションを重ねてきた。10のスペースで構成される会場は、そんなコラボレーションがもたらしたクリエイティブな旅をめぐるというもの。ルイ・ヴィトンの孫であるガストン-ルイ・ヴィトンがデザインしたウィンドウディスプレイで、さまざまな時代の才能が一堂に会する様子を見ることができる本展を順を追って見ていこう。

会場風景より、池田亮司《クリティカルポイント》
会場風景より「ルイ・ヴィトン 受け継がれる真髄」の部屋
会場風景より「ルイ・ヴィトン 受け継がれる真髄」の部屋

会場でまず人々を出迎えるのは池田亮司が本展のために制作したインスタレーション《クリティカルポイント》。ミラー仕様のフロアと吊り下げられたLEDスクリーンによって区切られたスペースで、しばし作品世界に浸ったら次のスペース「ルイ・ヴィトン 受け継がれる真髄」へ。ここではアーティストの厳培明(ヤン・ペイミン)、アレックス・カッツ、レフィック・アナドルが描いた若きルイ・ヴィトンの肖像画とともに、ルイ・ヴィトンの原点でもあるトランクが並ぶ。16歳からパリを拠点としたルイ・ヴィトンは、17年間の修行を経てトランク製造職人としての名声を得て自身のアトリエを開き、そこから多方面への活動へと展開していった。

会場風景より「アーティスティック・コラボレーション 伝統の創造」の部屋。壁を彩るのはKenta Cobayashi(小林健太)の作品
会場風景より「アーティスティック・コラボレーション 伝統の創造」の部屋

写真家、Kenta Cobayashi(小林健太)の写真が壁を彩るサイケデリックな空間が広がる「アーティスティック・コラボレーション 伝統の創造」では、メゾンが行うコラボレーションの起源に出会える。たとえば、20世紀初頭のアールデコ時代の著名なフランス人デザイナーであるピエール = エミール・ルグランや、香水瓶や化粧用品をデザインしたシュザンヌ・オザノーとカミーユ・クレス=ブロティエ、アレックス・イスラエルといったマルチな分野で活躍する現代アーティストや、歌舞伎俳優の十一代目市川海老蔵とのコラボレーション作品など。

会場風景より「シルクを彩るアート」の部屋 ©LOUIS VUITTON / DAICI ANO
会場風景より「シルクを彩るアート」の部屋。右はジェフ・クーンズとのコレボレーション

そうしたコラボレーションがカラフルに花開くのが、次の「シルクを彩るアート」の部屋だ。1980年代の終わり、ルイ・ヴィトンはソル・ルウィット、ジェイムズ・ローゼンクイスト、ガエ・アウレンティ、アンドレ・プットマンといった異才に声を掛け、テキスタイルシリーズのコラボレーションをスタート。この部屋では、彼らを筆頭に、村上隆、磯崎新らを含む人々によるコラボレーションが集まる。スカーフという1枚の規格の中で繰り広げられる多彩なクリエーションを楽しもう。

会場風景より「アイコンの再解釈」の部屋
会場風景より「アイコンの再解釈」の部屋。手前に見えるのはザハ・ハディッドの《バケットバッグ》
会場風景より「川久保玲によるルイ・ヴィトンの世界」の部屋
会場風景より「川久保玲によるルイ・ヴィトンの世界」の部屋

続いてカール・ラガーフェルド、シンディ・シャーマン、ヘルムート・ラング、川久保玲らが手がけたトートバッグが並ぶのは、「アイコンの再解釈」の部屋。メゾンの代名詞である「モノグラム」誕生から100年目の1996年、そして2014年に、ルイ・ヴィトンは世界でも有数のデザイナーや類稀なクリエイティブな人物に声をかけ、メゾンのクラシカルなバッグを再解釈した新たなデザインを依頼。ここに披露されるのはそうして生まれたバッグたちだ。なかでも川久保とのコラボレーションは次の部屋「川久保玲によるルイ・ヴィトンの世界」でじっくり堪能できるため序章として堪能したい。

会場風景より「真っ白なキャンバスに見立てたバッグ」の部屋
会場風景より「真っ白なキャンバスに見立てたバッグ」の部屋

ルイ・ヴィトン+アーティストのコラボレーションで、もっとも多く街角で見かけるものといえば、モノグラムのバッグやラゲージだろう。「真っ白なキャンバスに見立てたバッグ」の部屋では、ダミアン・ハースト、村上隆、スティーブン・スプラウス、ジェフ・クーンズ、草間彌生といった現代アート界をリードするアーティストたちとのコラボレーションによって再解釈され、変容を遂げてきましたクラシカルなモチーフを紹介。ここで展示されているバッグやラゲージはいずれも、新たなキャンバスとしてアーティストに提供され、日常的に持ち歩けるアート作品に姿を変えたものたち。見たことのあるアイテムも多くあるはずだ。

会場風景より「ルイ・ヴィトンと日本:レザーグッズの伝説」の部屋 ©LOUIS VUITTON / DAICI ANO
会場風景より「ルイ・ヴィトンと日本:レザーグッズの伝説」の部屋 ©LOUIS VUITTON / DAICI ANO
会場風景より「アートとファッションの出逢い」の部屋。リチャード・プリンスとのコラボレーション
会場風景より「アートとファッションの出逢い」の部屋

クリエーションの旅をめぐる展示もいよいよ終盤へ。約15年にわたり続いた、村上隆との充実したコラボレーション、2012年にスタートした草間彌生とのコラボレーションの軌跡をたどる「ルイ・ヴィトンと日本:レザーグッズの伝説」の後、ファッションとアートのさらなる緊密な関係を目の当たりにできる見どころの多数の部屋が「アートとファッションの出逢い」だ。ルイ・ヴィトンが1998年にファッション・コレクションを発表して以来、著名なアーティストとの大胆なコラボレーションは常に話題となり、人気を博してきた。これまでに、スティーヴン・スプラウス、リチャード・プリンス、ジェイク・アンド・ディノス・チャップマン、ダニエル・ビュレン、草間彌生、クリストファー・ネメス、グレース・コディントン、シュプリームが、メゾンのウィメンズ&メンズのデザイナー(マーク・ジェイコブズ、ニコラ・ジェスキエール、キム・ジョーンズ、ヴァージル・アブロー)とともにコラボレーションを展開。同一ブランドの服とは思えない多種多様さは、老舗メゾンならではの余裕を感じさせるほど。

会場風景より「ルイ・ヴィトンと日本:ファッショナブルなラブストーリー」の部屋 ©LOUIS VUITTON / DAICI ANO

そして本展は「ルイ・ヴィトンと日本:ファッショナブルなラブストーリー」で締めくくられる。じつは、この部屋の中央に鎮座するのはルイ・ヴィトンのアイテムではなく、山本寛斎がデヴィッド・ボウイのためにデザインしたことで知られるアイコニックな衣装。それは、ニコラ・ジェスキエール(ルイ・ヴィトンウィメンズアーティスティック・ディレクター)が2017年に日本のMIHO MUSEUMでショーを開催するにあたり、山本寛斎にインスピレーションを受けたモチーフを採用したことに由来する。惜しくも2020年に逝去した山本がファッション界に与えた影響とリスペクトが感じられる、特別な部屋になっていることに注目したい。ここではそのほかにも、藤原ヒロシ(FRAGMENT DESIGN)とキム ・ジョーンズ、NIGO®、ヴァージル・アブローらによるメンズルックもあわせてチェックできる。

ギフトショップ ©LOUIS VUITTON

豪華絢爛なコラボレーションの旅を楽しんだあとは、1階のギフトショップへ立ち寄ってみよう。ここでは、厳選されたルイ・ヴィトンの小物をはじめ、「ギフティング」コレクション、テキスタイル、ファッション、ホーム&スポーツアクセサリー、フレグランス・コレクションのほか、メゾンの多彩な書籍を販売。さらに小物を対象としたメゾンのアイコニックなホットスタンピング(箔押し)や、香水ボトルへの刻印サービスも受けることができるという。旅の終わり、その思い出を持ち帰ってみるのはいかがだろう?

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