高級感溢れる街、銀座。ハイブランドのブティックが連なり、三越や松屋銀座などの老舗デパートも建ち並ぶ。
休日は歩行者天国となる中央通りは、今日では大勢の訪日観光客で賑わう。
そんな中央通りからすこし外れ、交詢社通りにひっそりと佇んでいるのが、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(以下ggg)である。
展示内容は、グラフィックデザイン専門という性格上からか、広告ポスターや商品パッケージなど、「伝える」ための役割を担ったものが多く、見て分かりやすく、楽しみやすい。抽象絵画を見たときの「なにが描かれているのだかよく分からない」という感覚に包まれることは少ないだろう。
デザインコンペティションの受賞作品を集めた企画展も定期開催されており、グラフィックデザインに関心がある人は一度は訪れてみるべきギャラリーである。
さて、gggにて展示を堪能した後は、帰る前に一度、中央通りを歩いてみることをおすすめしたい。
私たちは普段、どれほど建物全体に注目しているだろう。グラフィックデザインによる「見て、わかる」という作品の数々に触れてきた後だ。少なからず、ものを見ることに対する意識も変わったところではないだろうか。そこでせっかくならば立ち止まって、通りに並ぶ店たちを見上げてみてほしい。
建物の外観とはいわばその店の顔。このようにさまざまな表情を見せる建物が通りに並んでいることに気がつくだろう。
銀座の街並みをつくる各店舗の外観。お気に入りのモダンなイケメンビルディングを探すもよし、風情あるナイスミドルなビルディングを探すもよし。楽しみかたはそれぞれだが、そうした目で銀座を見てみるとまた景色も違って見えてくる。
ギャラリーに作品を鑑賞しに行く良さとは、好きな作品を実際に見られるというところにある。だがそれに加えて、作品を見ることから日常生活における視点が変わるきっかけを手にすることができる、ということがある。今回の例であれば、銀座の街並みを視覚的に捉え直すことで、建物全体に目が行き、そこにある建物のユニークさに気がつけるということだ。
そうした自分だけでは得られない変化を、ギャラリーを訪れるということを通じて体験していただけると幸いである。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー公式ページはこちら: http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/
[TABインターン] 坂井大生: 都内の大学に在籍してはいるものの通学しているかはかなり怪しく、巷では出家も噂されている。その溢れる文才により、文化界各方面から引く手数多のコラム二ストであったらいいのに。サラダには基本的に何もかけないで食べるスタイル。