公開日:2025年2月5日

京都市京セラ美術館、2025年度の展覧会スケジュールをご紹介! 「⺠藝誕⽣100年」展、前衛⽇本画など

⺠藝や前衛⽇本画から西洋絵画の名作まで、バラエティ豊かなラインアップを発表

田村宗立 官女弾琴図 1897頃

歴史と現代性を併せ持つ、京都市京セラ美術館で、2025年度に開催される展覧会のラインアップが発表された。

京都市など主催の展覧会

◎ 特別展「⺠藝誕⽣100年―京都が紡いだ⽇常の美」(9⽉13⽇〜12⽉7⽇)

会場:本館 南回廊1階

思想家の柳宗悦、陶⼯の河井寬次郎、濱⽥庄司が京都に集うことで始まった「⺠藝」運動。誕生から100年という節目を迎える本年、京都において、日本の近代化のなかで一般大衆にも広がった民藝運動の無名性、簡潔性、そして単純さに美を見出す精神を考察する展覧会が開催される。「民藝」という言葉が誕生するきっかけとなった木喰仏を始め、黒田辰秋、青田五良の作品、「民藝館」や「三國荘」のために制作された河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチらの工芸作品、柳宗悦らによる日本全国の蒐集品や、芹沢銈介、棟方志功の作品も紹介される。さらに、民藝運動の推進者や支援者に関する作品や資料も併せて展示し、京都と民藝の関わりを総合的に紹介する。

木喰上人 地蔵菩薩像 1801 日本民藝館蔵

◎「第12回⽇展京都展」(12⽉20⽇〜2026年1⽉17⽇)

会場:本館 北回廊1・2階、南回廊2階、光の広間

毎年開催されている、日本最大規模の総合公募展「日展」の京都展。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門にわたり、全国を巡回する基本作品と京都・滋賀の作家による地元関係作品の計約500点を鑑賞できる。

◎ 特別展「戦後京都の前衛⽇本画(仮称)」(2026年2⽉7⽇〜5⽉6⽇)

会場:新館 東⼭キューブ

近代日本画を牽引する文化的中心地のひとつとして発展し、多くの優れた日本画家を輩出してきた京都。しかし、戦後になると伝統文化としての日本画に対する批判の声が高まり、日本画は逆風にさらされることとなった。そうした状況のなか、京都画壇では日本画の枠組みを見つめ直し、継承と革新を模索しながら前へ進もうとする「前衛日本画」の運動が、1940年代以降に活発化した。本展では、戦後京都画壇の前衛運動として、「創造美術」「パンリアル美術協会」「ケラ美術協会」の3つの団体を中心に紹介し、日本画の系譜がいかにして現代へとつながったのかを振り返る。出展作家には、徳岡神泉、堂本印象、上村松篁、秋野不矩、三上誠、下村良之介らが名を連ねる。

⼤野俶嵩  緋 No.24 1964 京都市美術館蔵

◎「⻄洋絵画400年の旅―珠⽟の東京富⼠美術館コレクション」(2026年3⽉20⽇〜5⽉24⽇)

会場:本館 北回廊1階

東京富士美術館のコレクションは、日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画、版画、写真、彫刻、陶磁、漆工、武具、刀剣、メダルなど、多岐にわたるジャンルの作品約3万点を収蔵し、ルネサンス時代から現代に至る西洋の油彩画も幅広く紹介している。本展では、そのコレクションのなかから厳選された作品を通じて、西洋絵画400年の歴史をたどる。

ジャック=ルイ・ダヴィッドの工房 サン=ベルナール峠を越えるボナパルト

コレクションルーム

約4400点を数える近代以降の京都の美術(日本画、洋画、彫刻、版画、工芸、書)を中心としたコレクションのなかから、4期に分かれて、テーマ特集展示を行っている。竹内栖鳳、上村松園、木島櫻谷など京都を代表する人気の名作紹介に加え、テーマ特集展示を通じて、京都を基軸とした近代から現代の美術の面白さが体感できる。

◎ 春期 特集「染織をめぐる冒険―京都の作家を中⼼に」(4⽉11⽇〜6⽉15⽇)

⻑年にわたり培われた染織技術を基盤に数多くの染織家たちが優れた意匠を⽣み出してきた京都。本展では、1930年代から現代に至る京都の染織作品を、新収蔵品を交えて紹介する。リニューアル後初となる北回廊2階の広い展示室で、迫力ある作品を堪能できる機会となる。

久保田繁雄 海音Ⅲ 2019 京都市美術館蔵

◎ 夏期 特集「洋画の夜明け―⿊⽥重太郎にならって」(6⽉20⽇〜8⽉31⽇)

京都洋画壇の重鎮であった黒田重太郎は、画家であると同時に多作な文筆家でもあった。その著作は、ヨーロッパ美術の動向を伝え、西洋美術受容に重要な役割を果たした。本展では、黒田が紡いだ京都洋画壇の形成過程を所蔵品とともにたどり、その発展の礎を紹介する。

浅井忠 グレーの柳 1901

◎ 秋期 特集「こどもへのまなざし」(10⽉24⽇〜12⽉14⽇)

子供はかわいらしく純粋でありながら、自由でどこかあやうさも感じさせる。こうした子供に対する認識は、近代になって改めて発見されたものとも言える。明治期には学校が創設され、児童教育が発達。その後、大正期には児童向け雑誌や童謡が誕生し、多くの文化人が子供という存在に視線を向けた。本展では、近代の画家たちが描いた子供をテーマにした作品を展示し、「こどもへのまなざし」の変化を振り返る。

三谷十糸子 朝 1937 京都市美術館蔵

◎ 冬期 特集「お雛さまと⼈形の世界 〜 絵画と共に四季をめぐる」(12⽉19⽇〜2026年3⽉15⽇)

京都で江戸時代・明和年間に創業した人形司「丸平大木人形店」の雅やかな人形を、五節句や季節の行事を描いた絵画とともに紹介する展覧会。丸平は、公家のしきたりである有職を基本に、装束から調度品に至るまで品位あふれる人形づくりを行ってきた。本展では、宮家や財閥などの名家に愛されてきた雛人形を中心に、丸平ならではの御所人形や衣裳人形、市松人形を、所蔵品の近代画家の作品とともに紹介し、京都に息づく伝統美を振り返る。

北沢映月 娘 1935 京都市美術館蔵

その他主催の展覧会

◎ 「モネ 睡蓮のとき」(3⽉7⽇〜6⽉8⽇)
会場:本館 北回廊1階、南回廊1階

◎ 「第4回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ 2025」(4⽉15⽇〜5⽉11⽇)
会場:本館 南回廊2階

◎ 「松本市美術館所蔵 草間彌⽣ 版画の世界―反復と増殖―」(4⽉25⽇〜9⽉7⽇)
会場:新館 東⼭キューブ

◎ 「どこ⾒る?どう⾒る?⻄洋絵画! ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 feat.国⽴⻄洋美術館」(6⽉25⽇〜10⽉13⽇)
会場:本館 北回廊1階

◎ 「Hello Kitty 展 ―わたしが変わるとキティも変わる―」(9⽉25⽇〜12⽉7⽇)
会場:新館 東⼭キューブ

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。
Loading.................................................