工藤麻紀子 空気に生まれかわる 2020 棟田響氏蔵
現実と夢が混在した心象風景を描く画家・工藤麻紀子の国内美術館初の個展「市制90周年記念 工藤麻紀子展 花が咲いて存在に気が付くみたいな」が開催される。平塚市美術館にて、2022年7月9日から9月11日まで。インスタレーション作品を含む新作と旧作約120点が並ぶ。
青森県に生まれた工藤は、2014年から5年間平塚市内にアトリエを構え、現在も個展を中心に活動している。色面による構成と装飾的な表現と用い、日常の生活を題材にした心象風景を描く工藤の作品は、マティスやボナールに通じる色彩と装飾性を兼ね備えると評価され、国際的にも高い人気を誇る。
身近な出来事に対する思いを作品に投影させる描き方は、キャリア初期から一貫し、作品には普段の生活で見聞きしたもの、住む土地や記憶が一体となって、夢の中のような混沌とした風景が広がる。それは、しばしば観客の記憶にある風景や出来事を呼び覚まし、親密さとストーリー性をもって迫ってくるものだ。国内では過去最大規模の個展となる今展を見逃さずチェックしたい。