DIC川村記念美術館 200室 撮影:高橋マナミ
DIC川村記念美術館にて佐倉の地での最後となるコレクション展示「DIC川村記念美術館 1990–2025 作品、建築、自然」が2月8日~3月31日に開催される。
「ロスコ・ルーム」をはじめ、国内屈指の現代美術コレクションで知られる同美術館は1990年に千葉県佐倉市に開館し、34年にわたり、移ろう季節とともに活動を続けてきた。しかし、昨年4月に創設された社外取締役らによる「価値共創委員会」から「現状のまま美術館を維持、運営することは難しい」との助言を受け、8月に運営見直しとして休館が発表されていた。運営中止も選択肢に含めて年内に結論を出すとしていたが、資本効率の観点などを踏まえて検討した結果、12月に「ダウンサイズ&リロケーション」を最終方針として発表した。
同館は、開館以来「作品・建築・自然」の3つの要素の調和を大切にしてきた。館内は、異なる意匠を持つ11の展示室を基本として構成され、それぞれが独自の空間を生み出している。個々の作品の存在を受け止め、鑑賞者との対話が生まれるよう、建築の細部にまで熟慮を重ねた設計が特徴である。
今回は、企画展示室を含む全館を使用し、コレクションの流れを余すことなく紹介する。印象派、シュルレアリスム、抽象表現主義、ミニマリズムなど、ジャンルを問わず、庭園の野外彫刻も含めた約180点が展示される。
緑豊かな自然環境に包まれた同館のさらなる魅力は、敷地内に広がる四季折々の景色である。野外彫刻をゆったり鑑賞するのもおすすめしたい。
会期中は毎日14:00よりガイドスタッフによるガイドツアー(当日先着20名)も実施される。
長年にわたり多くの人々に愛され、季節とともにその姿を変えてきたDIC川村記念美術館。この特別なコレクション展示を通じて、その魅力を感じることができる貴重な機会となりそうだ。