時空を超えて、1874年のパリと4500年前のエジプトへ。国内最大級のXR体験施設IMMERSIVE JOURNEY(イマーシブジャーニー)が放つ実力

「第一回印象派展」を追体験できる「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」と、ピラミッドの秘密に迫る「THE SECRET OF THE PYRAMID BUILDERS ーピラミッド建造者の秘密ー」。オルセー美術館、ハーバード大学の監修のもと紡がれたふたつの物語を、現地からレポートする

左:「THE SECRET OF THE PYRAMID BUILDERS ーピラミッド建造者の秘密ー」 © Excurio - GEDEON Experiences - Musée d'Orsay 右:「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」 © Excurio

IMMERSIVE JOURNEY(イマーシブジャーニー)が誘う、印象派誕生の瞬間

2024年末に横浜駅直結のアソビルにオープンした国内最大級の大型XR体験施設「IMMERSIVE JOURNEY(イマーシブジャーニー)」。2026年1月には名古屋にオープンし、2027年春の開業に向けて広島での準備も進められているというように、着実にそのファンの数を増やしている。

来場者はVRヘッドセットを装着し、ほかの参加者とともにエリア内を歩きながら、まるでその作品世界のなかにいるかのような文化体験を楽しめるこの施設。開館時には、世界18都市で260万人を超える人々を魅了したVR作品「Horizon of Khufu ホライゾン・オブ・クフ  古代エジプトへの旅」が上陸したことも話題となったが、昨年7月より「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」が、そして今年に入ると「THE SECRET OF THE PYRAMID BUILDERS ーピラミッド建造者の秘密ー」がラインナップに加わった。IMMERSIVE JOURNEY(イマーシブジャーニー横浜)を訪れ、後者2作品を体験した。

会場風景 撮影:中島良平

「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」は、1874年4月15日夜8時のパリを舞台にスタートする。オペラ座(ガルニエ宮)の前で、画家たちのモデルを務める機会もあるというひとりの女性ガイドのローズと合流すると、そこからほど近く、カプシーヌ大通りにある写真家ナダールの旧アトリエに案内される。モネやルノワール、モリゾ、セザンヌ、ピサロ、ドガらが、公式サロンから離れた場で自由な表現の発表を行うべく一堂に会して展示を行った場だ。

「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」より、オペラ座 © Excurio - GEDEON

VRヘッドセットを装着し、臨場感を伴ってオペラ座からナダールの旧アトリエへと向かい、建物に足を踏み入れる。印象派の画家たちの作品が壁一面を埋め尽くしているのだが、よく知られている作品の数々が、それぞれのリアルなタッチを再現した絵となって眼前に表れるのだから圧巻だ。そして、出品作家たちがガイドのローズに話しかけてきて、その思いの丈を話しているのを聞いていると、時空を超えてその場に居合わせているような感覚と、「実際にこの展覧会場で画家たちはこんなふうに話していたんだろう」という想像とが同時に沸き上がってくる。1作目の「Horizon of Khufu ホライゾン・オブ・クフ  古代エジプトへの旅」の次に本作をラインナップした意図をIMMERSIVE JOURNEY(イマーシブジャーニー)を運営するCinemaLeap代表の大橋哲也は次のように話す。

「エジプトは日本の博物館でも非常に人気が高いこともあり、1作目でエジプトがテーマの作品を紹介したのですが、日本の美術館に目を向けると、印象派の人気がとても高いですよね。『Horizon of Khufu ホライゾン・オブ・クフ  古代エジプトへの旅』で圧倒的な景色や考古学の神秘的な世界を味わっていただけたので、印象派の画家たちの人間ドラマや新たな芸術表現が生まれる瞬間に立ち会っていただきたいと考えて、2作目として『Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー』をキュレーションしました。VRによってある世界に入り込み、一人称でその世界に没入できるイマーシブな表現は、物語を伝えることにとても向いているフォーマットだと思うので、エジプトと印象派とそれぞれに違った楽しみが生まれていると考えています」

「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」より、「第一回印象派展」の会場 © Excurio - GEDEON Experiences - Musée d'Orsay

「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」においては、オルセー美術館のキュレーターたちによる監修を受けており、当時の人間関係であったり、展示の様子、作品が生まれた背景であったりという史実関係に綻びがないよう細心の注意が払われている。やはり、ナダールの旧アトリエに展示された印象派の名作絵画の数々——当時はもちろん、気鋭の画家による、サロンに落選したものを多く含む異端作だと考えられていたのだが——が壁を埋め尽くすように展示された状況は圧倒的な力を放っている。

そして物語は時を遡るようにして、モネとルノワールが「チューブ状の油絵具が開発されたことで持ち運びが楽になり、屋外で油絵を描くこともできるようになった」と語りながら川辺で絵を描く様子などにも立ち会えるのだが、モネがホテルのテラスからル・アーブルの港を眺め、《印象・日の出》が生まれる瞬間がハイライトとなる。モネがどのような風景を目にし、絵として表現しようとしたのか。その瞬間には思わず息を呑む。再びナダール邸の展示に戻ると、壁には同作品が架けられており、VR作品内でも時空を超えた体験を促すシナリオの巧みさも傑出していることがわかる。

「Tonight with the Impressionists Paris 1874 ー印象派画家と過ごす夜ー」より、《印象・日の出》を描くモネ  © Excurio - GEDEON Experiences - Musée d'Orsay

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