公開日:2024年9月6日

台湾の国宝《甘露水》が東京・上野でお披露目。36歳で夭逝した台湾人彫刻家・黄土水による作品

国立台湾美術館と東京藝術大学が共同企画した「黄土水とその時代—台湾初の西洋彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」展で展示中。

会場風景より、黄土水《甘露水》(1919)撮影:筆者

台湾人として初めて東京美術学校(現 東京藝術大学)に留学した彫刻家・黄土水(ファン・ツースイ)。2023年に台湾の国宝に指定された黄土水の代表作《甘露水》が東京藝術大学大学美術館で開催中の展覧会「黄土水とその時代—台湾初の西洋彫刻家と20世紀初頭の東京美術学校」で展示中だ

会場風景より、黄土水《甘露水》(1919)撮影:筆者

国立台湾美術館と東京藝術大学が共同で企画した本展覧会には、高村光雲や陳澄波(チェン・チェンポー)など台湾と日本の同時代のアーティストによる絵画、彫刻、資料、文献など58点が紹介されている。

会場風景より、高村光雲《観音頭部》 木 東京藝術大学所蔵 撮影:筆者
会場風景

黄は1915年から1922年まで東京美術学校で高村光雲の教えを受けた後、1923年に東京にアトリエを構え、1930年に36歳で夭逝するまで制作活動を続けた。《甘露水》は西洋の彫刻技法を使って、気高く力強いアジア女性の体形と表情を再現しており、明治時代の文明開化で文化的価値観が揺れる20世紀初頭の時代のうねりが見て取れる。

会場風景より、黄土水《ガチョウ》 (1928)個人蔵 撮影:筆者
1920年台から1940年代までの台湾人留学生の自画像

展覧会は10月20日(日)まで開催されている。

諸岡なつき

諸岡なつき

もろおか・なつき 「Tokyo Art Beat」マネージャー