改修工事休館中の広島市現代美術館は、2023年3月18日にリニューアルオープンする。今回のリニューアルでは、黒川紀章設計による意匠を活かしながら、展示室の機能向上、カフェ新設、ショップの改装、バリアフリートイレなど設備・サービスの拡充がはかられている。
そんな同館から、リニューアルオープン記念特別展の新情報が公開された。
2023年3月18日から6月18日まで行われる「リニューアルオープン記念特別展 Before/After」は、「劣化と修復」「夢と希望」「歴史」「原子力」「産業奨励館と原爆ドーム」「楽園」「災害と再生」をキーワードに、様々な現象や状況の「前」と「後」に着目した展覧会。
美術館のコレクションをベースに、社会の変化やシステムの綻び、隠され、葬り去られた過去や歴史を敏感に察知して制作を続ける若手作家による新作を織り交ぜて紹介する。
主な参加作家は、靉嘔、伊藤公象、井上覚造、大岩オスカール、岡本太郎、デニス・オッペンハイム、オノ・ヨーコ、 河原温、鴫剛、四國五郎、下道基行、菅井汲、ナンシー・スペロ、高山良策、田中功起、田村友一郎、蔡國強、土田ヒロミ、シリン・ネシャット、 ダラ・バーンバウム、ジョン・バルデッサリ、吹田文明、キース・ヘリング、細江英公、松澤宥、ヘンリー・ムーア、森村泰昌、ヤノベケンジ、若林奮など。
コウミユキ、髙橋銑、竹村京、毒山凡太朗、平田尚也、横山奈美、和田礼治郎の7名は今回のための新作を発表する。
2005年の第6回ヒロシマ賞受賞作家でもあるシリン・ネシャットの《Land of Dreams》(2019)は、同館にとって16年ぶりの新規購入作品。今展で初お披露目となる。アメリカ、ニューメキシコ州の住民を被写体とした肖像写真と、若いイラン人の美術学生を主人公にした映像で構成され、アメリカの理想と現実、アメリカとイランのあいだの政治イデオロギーや核政策の不条理と危険性を、住民が語る夢を通して描き出している。
広島市現代美術館では、リニューアル展終了後の7月から第11回ヒロシマ賞を受賞したアルフレド・ジャーの展覧会も予定している。同館の新たなスタートに期待したい。