映画『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』より
2019年に行われたグッゲンハイム美術館の回顧展では、同館史上最高(当時)となる約60万人の来場者数を記録し大きな話題を呼びながらも、いまだ謎に包まれた画家、ヒルマ・アフ・クリント(1862-1944)。その真実を知る手がかりになるかもしれない注目の映画『見えるもの、その先にヒルマ・アフ・クリントの世界』が、2022年4月より、ユーロスペースほか全国順次ロードショーとなる。
スウェーデン生まれのヒルマ・アフ・クリントは王立美術院で肖像画と風景画を学び、伝統的な絵画で成功を収めたが、妹の死などを経て神秘主義(直観や瞑想によって、超自然的な真理をとらえようとする考え、姿勢)に傾倒し、独創的な絵画を手がけるようになった。
その独創性は同じ思想を持つ4人の女性アーティストと結成したグループ「5人(de fem)」の活動や神秘思想家、哲学者、教育者であるルドルフ・シュタイナーとの出会いで輝きを増していった。しかし、同時代の画家たちが新たな芸術作品を発表するなか、彼女は自身の革新的な作品を世に出さず、自分の死後20年間は作品の公表を禁じてこの世を去った。
大胆でカラフルで、物理的世界に対する認識から解き放たれたクリントの作品。それは、カンディンスキー、マレーヴィチ、モンドリアンといった名だたる抽象画家の試みより以前に行われたものだ。
数十年の時を経て世界に発見されたクリントの作品は各地で評判を呼び、2019年のNYのグッゲンハイム美術館の回顧展は同館史上最高の来場数となった。人々の心を掴むクリントの絵は、なぜ20年を経ても世に出なかったのか? そして、目に見えるものを超えて見つめていた世界とは?
この映画では、キュレーター、美術史家、科学史家、遺族などの証言と、作品と言葉からそれらの謎を解き明かす。
『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』
監督:ハリナ・ディルシュカ
出演:イーリス・ミュラー=ヴェスターマン、ユリア・フォス、ジョシュア・マケルヘニー、ヨハン・アフ・クリント、エルンスト・ペーター・フィッシャー、アンナ・マリア・ベルニッツ
2019/ドイツ/94分/英語、ドイツ語、スウェーデン語
英題:Beyond the Visible – Hilma af Klint
配給:トレノバ
後援:スウェーデン大使館
2022年4月より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
https://trenova.jp/hilma/