小金沢健人+西畠清順《Forest for Momentum(流れを生む森)》|第一花壇 イメージ図
東京・日比谷公園を舞台に、アートと自然が織りなす1ヶ月間の祝祭「Hibiya Art Park 2025」が開催される。会期は4月25日から5月25日まで。入場は無料(パフォーマンスの一部は予約制)。
主催は東京都、企画制作はインビジブルと東京文化発信プロジェクト。会場構成は永山祐子建築設計。
本企画は、東京都が推進する「花と光のムーブメント」の一環として位置づけられており、パブリックアートとパフォーミングアーツを通じて都市と自然、そして人とアートの新たな関係を模索する。春の陽気に包まれた公園に、想像力の苗が芽吹く1ヶ月間となりそうだ。
第1期では、「見立て」のコンセプトのもと、自然環境と都市の景観に寄り添うようにインスタレーションが展開される。企画は今年1月に急逝した山峰潤也。
注目は、建築的な構造体と緻密な素材感を融合させる久保寛子の作品。弥勒菩薩やヌト神、赤子の手を参考にした造形にブルーシートを纏わせた、高さ約4mの作品《やさしい手》が心字池に浮かび上がる。また、久保による全長約20mの巨大な彫像《ハイヌウェレの彫像》は、展示準備期間中にワークショップを実施、参加者とともに作り上げていく。
また、彫刻と植物の融合を目指す小金沢健人とプラントハンター西畠清順がコラボレーションを行う。第一花壇のシュロを中心とした直径約28mの空間に、様々な種を織り交ぜた植栽によるジャングルを作り、普段とは異なる自然の生態系の姿を浮かび上がらせる。
緑陰広場には、イタリアのアーティスト、ジャコモ・ザガネッリが本展のためのオリジナル卓球台《Hibiya Ping Pong Platz》を設置。誰でもピンポンができる参加型作品だ。
宮崎啓太は雲形池の《鶴の噴水》を囲むように、鳥の巣を思わせる彫像を制作する。
後半の第2期では、身体性と関係性を重視したプログラムが展開される。企画は武田知也、藤井さゆり(ともにbench)。体験型アートプログラムが連日開催される。
上田久美子+miu+川村美紀子は公募で集まった出演者が朝の日比谷公園を舞台に「人間ではない小さな生き物」を演じることに挑むによる参加型パフォーマンスを実施。
小泉明郎は、蝶だけが知覚できる光の世界へと没入し、観客自身の身体の輪郭が曖昧になっていくVR作品を展開。
小山田徹の『火床』は、参加者と共に火=光を囲み、豊かなコミュニケーションを生む場を作り出す。
第2期において特筆すべきは、2000年代の日本演劇界に独自の足跡を残した劇団「維新派」の映像上映だ。『透視図』『トワイライト』 の2作品が上映される。大阪を拠点に野外劇を多数手がけた同団体は、巨大な仮設舞台と詩的言語、群舞的演出で知られた。今回は過去公演の映像を通して、「風景のなかで演じる」という身体の在り方に再び光を当てる。
今回は、維新派の公演で名物となっている「屋台村」も登場。維新派が遺した音・声・風景が、ふたたび野外で立ち上がる。
プログラムの詳細や時間などは、公式サイトをチェックしてほしい。