2022年2月に開館した大阪中之島美術館と、それに隣接する国立国際美術館の2館を使い、具体美術協会(具体)の全貌に迫る展覧会「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」が開催される。会期は2022年10月22日から23年1月9日。
具体は、1954年に兵庫県の芦屋で結成された美術家集団。画家の吉原治良を中核に据えたこの集団は、絵画をはじめとする多様な造形実践をとおして「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示」することを試みた。会員たちがそれぞれの独創を模索した18年間の軌跡は国内外で大きな注⽬を集め、戦後日本美術のひとつの原点として、なかば神話化されるほどだ。
今回の大規模回顧展では、具体の歩みを「分化」と「統合」というふたつの視点からとらえ直すという。誰の真似にも陥らず、互いに異質であろうとしながらも、同時にあくまで⼀個の集団としてまとまろうとする姿勢は、吉原の考えていた美術のあるべき姿、つまり「人間精神と物質とが対立したまま、握手」している状態とも、重なりあうだろう。
今展の開催地である大阪・中之島は具体の活動拠点であった「グタイピナコテカ」が建設された場所でもある。大阪中之島美術館では具体を「分化」させてそれぞれの独創の内実に迫り、いっぽうの国立国際美術館では具体を「統合」し、集団全体のうねりを伴う模索の軌跡を追う構成となっている。
出品総点数約170点という規模も驚異的だが、 造形美術の枠を拡張させるようなパフォーマティブな活動も行ってきた具体の活動に迫るべく2022年11月15日から20日には、1960年に具体がアドバルーンで作品を空高く吊り上げた空中展覧会「インターナショナル スカイ フェスティバル」の再現も大阪中之島美術館で行う。
具体解散50年目という節目の年に、具体について深く知る絶好の機会となるだろう。